【洋画】「暗くなるまでこの恋を」

ヌーヴェルヴァーグの代表的な一人、フランソワ・トリュフォー監督の「暗くなるまでこの恋を(La Sirène du Mississipi)」(1969年・仏)。

「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドと、あのカトリーヌ・ドヌーヴが主演とあれば観る価値ありだ。

フランスのある島でタバコ工場を経営する男が、新聞の見合い欄に投稿して、送ってもらった写真を見て、ある女性と会うことになる。
しかし、実際に彼の前に現れたのは、写真とは異なる妖艶な美女で、美女は不安で妹の写真を送ったという。
男は、美女にいたく魅了され結婚。
そのうち個人と会社の銀行口座を、妻との共同名義にするが、ある日、彼の全財産を奪って失踪してしまう…。

ちょっとヒッチコックにも似たミステリーだが、実は孤児院出身だった美女は、男のいる島へ行くフェリーの中で、犯罪者の男に脅され、そそのかされて、当初、男と会うことになってた女性を海に落として殺害、その女性になりすましていたわけだ。

犯罪者の男が財産を奪うのが目的だったが、男の情熱にほだされて彼を愛するようになっていく。

妖艶な謎の美女を演じる、お上品なドヌーヴ(チラッとパイオツヌードあり)は、冷たい悪女には似合わないと思うけど、大金を持ち逃げされて、必死に美女を探し出すものの、身の上話を聞いて、また惚れ込んでしまうベルモンド演じる男の情けなさは理解できる。

結局、2人の逃避行は殺人にまでに及んだわけだが、総じて観れば、足りないところが多くて、中途半端な感じを拭えない。

美女に翻弄されて、全てを投げ打って、死んでもいいという気持ちに陥るのは、よくわかるけど。

美女の顔を風景に例えて、一つ一つ絶賛していくシーンなんぞ、さすがフランス映画だね。

ドヌーヴとベルモンドの会話。
「愛は苦痛なの?」
「ああ、苦痛だ」
「君は美しい。見るのが苦痛だ」
「喜びであり苦痛でもあるんだ」

男は結局、美女には敵わない。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。