「日本文学全集 竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土左日記・更級物語」

「竹取物語」は言わずもがな。アニメも観たし。

「伊勢物語」は、「昔、男ありけり…」(女もあるけど。男は在原業平)で始まる、遠く離れた男女の想い慕う様子を中心に和歌で詠んだもの。

「堤中納言物語」は、日本最古の短編集。そんなに哀しいことばかりじゃなくて、皮肉の効いたユーモアのある作品も多い。
虫の収集が趣味の姫が毛虫だらけとなる「虫好きのお姫様」なんか、サイコーに面白かった。

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」で始まる、男である紀貫之が書いた「土左(佐)日記」は、女言葉ということでカナが多いため、意外と読みにくい。
土佐から難波まで舟で行く日本最古の紀行文学だな。海路の途中、船酔いし、やたらと海賊の出没を恐れている。

「更級物語」は、田舎で育った少女が、都に行ってステキな男性に見初められたいと夢見るのだが、現実はそうではない。
父親のために、望まぬ宮仕えをしたり、結婚するけど夢見ていたものとは違って失望したり、夫に先に死なれたり、挙げ句の果てには神仏参りに熱中する。
全く人生ってままならないものだなぁ、って話で、昔も今も一緒だね。
読書好きの主人公の彼女、叔母さんに「源氏物語」他、物語本をたくさんプレゼントされて、「天にも昇る嬉しさといったら!」とはしゃいでいる様子、わかるぅ!ってなもんだ。

「この世に 桜がなければ 春 わたくしたちの心は どんなにか 安らかだったことでしょう」(by伊勢物語)、さすがだ。

この時代、女流文学が多いが、古典に定番のやたらと「泣く」場面が多い。実際に、涙を流して泣くこともあると思うが、多分、様々な負の感情や心の動きをも「泣く」と表現したのじゃないだろうか?


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。