【アニメ映画】「思い出のマーニー」

もう一つジブリ作品を。また、米林宏昌監督の「思い出のマーニー」(2014年)。

コレも、英国作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学が原作。

ということで、やはり子供向け作品で、中年ジジイが観るものではないかなぁ、と思ったけど、名作古典映画「わが青春のマリアンヌ」のように、入り江の屋敷に住む少女マーニーが、ゴーストなのか、幻覚・空想の産物なのか、多重人格が作り出した存在なのか…、幻想的でロマチックな展開で楽しめた。ついに男子のキャラが登場しない処女崇拝の物語。

主人公の、12歳の少女、杏奈は、喘息の持病を持ち、実の両親と祖父母を幼少期に失ったことが心の傷となり、感情を全く表に出さないメンヘラとなっていた。
そんな杏奈が、都会を離れて自然の中で療養生活を送る。
夏休みの間だけ、里親の親戚の夫妻の家で過ごすことになったのだ。
杏奈は里親への手紙を出しに地元の郵便局に行った帰り、入り江に、古い西洋式の大きな屋敷を見つける。
杏奈は、なぜか「知ってる気がする」と直感的に感じて、引潮の時に屋敷まで渡って散策、2階の隅の部屋の窓に美しい金髪の少女がいたのを目撃する…。

結局、マーニーは杏奈の祖母の若い頃だったわけで、祖母の幻影であっても、祖母が体験した悲劇を、杏奈が追体験することでトラウマを克服して、自ら心を開いていくという、なんとも不思議な展開で、いろいろと解釈が生まれそうだね。

杏奈は、里親とも友達とも周りの人間とも、そして、自分とも邂逅するのだ。

入り江のステキなお屋敷と美しい少女というロマンチックな設定、それに現実的な少女が加わって、幻想の中に遊んで過去を遡ることで、実際に少女の心の傷が癒やされるというフロイト的な精神分析を映画化したように感じてしまった。

中学生くらいの多感な少女が、いつまでも人形で遊んでいるように、世間との交流を絶って、自らが創り上げた幻想の世界に身を置くことはよくあることだと思う。同じ不安定でも、男子じゃダメなんだよなぁ。そういう意味で処女崇拝なわけだ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。