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『リライト』 序章

この世界は、ずっと争っている。

なぜ、そんなことになったのか、今はそれを知るものすらいない。

戦いがあまりにも長く続いたため、この世界で、兵士といえば大半が女性だった。なぜなら、初期の戦いにおいて、男性は既に、大多数が死滅していたからだ。

そのため、女性が兵士として駆り出される事となった。が、もちろん、当初は女性が兵士をすることに対して、反対意見も多かった。

しかし、敵対勢力の攻撃が激しくなった結果、そうもいってられない状況になり、女性部隊が初めて、実践に投入される事となった。それが約900年ほど前の事だろうか。それから、続々と女性部隊が実践投入され、今では、男性が戦う方が珍しいくらいになった。

しかし、例外もある。そう、僕のように

僕は特異体質をもって生まれた。この長き戦いのなかで、人は生き延びるため、新たな進化を遂げていたのだ。

人は脳からの電気信号が体に伝わり、その指令に従って、体を動かす。

僕はその電気信号を、自分だけではなく、他人にも送ることができるのだ。それが僕の体質。これが新しい人類の進化なのだ。

そして、それはつまり、自分以外の人に、別の電気信号を送ることで、相手の信号を『リライト』し、相手の意思に関係なく、自分の思いどおりに操る事ができる、と言うこと。

もちろん『リライト』するには、条件がある。それは、相手に触れる、ということ。触れる事が出来なければ、相手を操ることは出来ない。

しかし、例外として、電気を流す物質、を介してなら、『リライト』が可能だった。

僕がこの能力に気付いたのは、生まれてすぐ。というか、記憶にないほど小さな頃から、この能力によって、数々の不幸を生んできた。

子供は残酷だ。とはよく言うが、僕の能力は本当に残酷だった。

最初の悲劇は父の死だ。いや、僕がこの能力を使って、殺した。まだ、赤ん坊の頃に。僕は母を操り、父を殺したのだ。そして、次の悲劇は母の死。そして、僕は、その後も引き取られた先で、次々と里親を殺した。ただ、純粋な、嫌だ、という感情だけで。

そして、その事件が国に伝わり、原因を調べた結果、それが僕の仕業であることが判明した。しかし、その頃には、僕は悪魔の子と呼ばれ、回りの人間からは、悪魔の子は不幸を呼ぶ。早く殺せ。と言われていた。

しかし、国は僕の能力に目をつけた。
しばらくして…僕は殺された。いや、正式には、僕の身代わり、が殺された。こうして、、という存在は抹消されたのだ。

そして、20年後、僕は戦場にいた。

続く・・・

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