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タンクトップ

毎週月曜休みな私の日常。朝ゆっくり起床してテレビをつけると、中継先の九州地方が雨で甚大な被害を受けているのをまず目にした。しかし、カーテンを開けてみると、私が住んでいる場所は雲ひとつない青空と強い日差しが降り注いでいた。

バイトを掛け持ち、留学資金を必死に貯めている「フリーター人間」こと私は、こんな感じで休日は誰とも予定が合わずに1人で過ごすことが多い。今までは朝起きてからそのまま趣味のソロツーリングに出かけることが多かったが、さすがに今日は暑くて遠くには行きたくない。

とりあえず午前中は進学関係の行政手続きや必要なことを全て終わらせるため、小さなカバンに貴重品だけ入れてから家を出た。

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今年初めて熱中警戒アラートが発令された今日のコーディネートはタンクトップとカーゴパンツ。普段某アパレル店員をしている私だが、どれだけ流行りに詳しくなっても、やはり「こだわりがない」というのが私のこだわりだ。このシンプルな服の組み合わせに、伸びかけでかなり色が明るくなってきた髪の毛をヘアクリップで留める。

タンクトップ1枚だけで過ごす日なんて今までにあっただろうか。今まで少し抵抗感のあったタンクトップだが、この前久しぶりに会った友達がかっこよくタンクトップを着こなしている姿を見て、不意に素敵だなと思って真似してみたのだ。

高校時代から付き合いが長いその友達。海外経験があって、自分軸というものをしっかりと持った子だ。昔から飾らない彼女の性格はとても潔く、いつ会ってもギラギラと輝いている。私は久しぶりにその子を見て思った。私は自分をよく見せようと余計な飾りをつけすぎだ。あの子のように、素直な自分を愛せるようになりたいってね。

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ここで言う余計な飾りとはなんだろう。もちろん服装やメイクなどはそうだけど、それだけじゃない。増え続けるSNSのアカウントや雑に終わらせてしまった日々。そして自分が過去に紡いできた言葉もそうだ。どれも小さな思い出ではあるけれど、前に進もうとしている今、なんだかそれらを手放したくなった。これから大きくジャンプするために、少しだけだけ身軽になりたい。

今日初めてタンクトップ1枚で過ごしてみたら、思いのほか足取りが軽くなった。いくらこだわりがないとはいえ、今まで謙遜してきた夏の大定番。だけどなんだか気持ちがスッキリする。今年はしばらくお世話になりそう。身なりも心も、今年の夏は少しずつ軽くしていきたい。

昼間に少しだけ外を歩いただけですっかり汗ばんでしまった。こんな猛暑の中でも道路上で働く方を見て「お疲れ様です」だけでは言い表せないくらいの気持ちになった。そういえば、この前の土曜日あたりから少しずつ蝉の声が聞こえてくる。そろそろ私も出国準備を進めなきゃ。

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