マガジンのカバー画像

梅壺物語

9
梅田桃子さんとの撮影時に生まれた物語がふくらみ、時代を越えてひとつの壺を受け継いでいった女性たちの、一連の物語となりました。 章立ては以下のようになっています。 0. 『梅壺…
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

怪談『鈴の音』(異伝)

怪談『鈴の音』(異伝)

 時は江戸時代。旗本の名家である萩原家と伊藤家は親戚筋にあたり、家族ぐるみの付き合いの仲であった。萩原家の家督を継いだ新左衛門も、幼い頃から伊藤家に出入りし、その娘たちとも仲睦まじく育った。伊藤家の二人姉妹のうち、姉のお梅は物静かでおとなしく、妹のお桃は明るく愛嬌のある性格であったが、いずれも美しい娘に育った。新左衛門はどちらかと言えばお桃と親しくしていたが、両家の親同士の意向もあり、お梅が萩原家

もっとみる
『梅壺物語』登場人物紹介

『梅壺物語』登場人物紹介

桃:東京のある遊郭に身を置く娼妓。両親を早くに亡くしたが、母親から受け継いだ壺を大事に持っている。

T:東京帝國大学の学生。桃の馴染みの客。

萩原新三郎:新進気鋭の浮世絵師で元浪人。妻がいるにもかかわらず、美人画のモデルとなったお露と恋仲になる。

お露:江戸の呉服屋の一人娘。明治維新後には両親から実質的に家業を引き継ぎ、繊維の輸出入をおこなう商社へと発展させた。

京の君:源九郎判官義経の正

もっとみる