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『梅壺物語』登場人物紹介

桃:東京のある遊郭に身を置く娼妓。両親を早くに亡くしたが、母親から受け継いだ壺を大事に持っている。

T:東京帝國大学の学生。桃の馴染みの客。

萩原新三郎:新進気鋭の浮世絵師で元浪人。妻がいるにもかかわらず、美人画のモデルとなったお露と恋仲になる。

お露:江戸の呉服屋の一人娘。明治維新後には両親から実質的に家業を引き継ぎ、繊維の輸出入をおこなう商社へと発展させた。

京の君:源九郎判官義経の正妻にして、平権大納言時忠の娘。義経が奥州で討たれた後は京都の尼寺で出家し、戦争で身寄りをなくした女性たちや、夫から離縁されたり虐待されたりした女性たちを救済する慈善事業に一生をささげた。

しのぶ:幼い時から京の君に侍女として仕え、姉妹同様に育った。京の君の身代わりとなる。

おわさ:しのぶの母で、京の君の侍女として仕える。若い時分に修行中の身であった弁慶と契り、娘しのぶを身籠った。京の君が出家した際にはそれに付き従い、生涯にわたって彼女を支えた。

武蔵坊弁慶:義経の最も信頼する家臣。主君とその正妻を守るために、自身の娘を身代わりとして殺害する。

玲月尼:京都北白川の尼寺である梅壺寺の住職。「玲月焼」の作者で、その作品の売り上げによって慈善事業をおこなった。

梅子:お露の孫(表向きは姪)で、桃の母。母親による束縛を逃れるべく家出し、女優になる夢を追うが、数奇な運命をたどることとなる。

S:元自由民権運動の壮士であったが、その後は芸能業界の界隈をうろつくゴロツキとなる。梅子のヒモ。

座長:近代的な演劇を標榜する劇団の座長。所属する複数の女優たちと関係を持ち、梅子にもそれを要求する。

K:梅子の内縁の夫。大阪の料亭の主人で、梅子の他にも妾がいる。窒息プレイを好むが、それが彼の命を縮めることとなった。

置屋の主人:東京の東端にある遊郭の置屋の主人。流れ着いた梅子を受け入れる。梅子には結果的には無断で逃げられる形となったが、それから十数年後に梅子の娘の桃がここで働くことになったのはまったくの偶然である。にもかかわらず桃に対しても親切にあたったのは、主人の人柄である。

梅子の馴染みの青年:九州の資産家の跡取り息子で、東京の私立大学に在学中、梅子と知り合う。梅子と将来を約束する仲になるが、ある日忽然と姿を消す。

梅子の夫:東北地方の農村に生まれ、家は裕福ではなかったが勉学に秀でていたため、小学校を卒業後に専門学校に入り、建築を学んだ。その後は東京に出て設計事務所で働いていたが、東京での生活に違和感を感じていた時に梅子と出会った。

桃:東京の美術大学に通う女子大生。ふとしたことから「梅壺」とその中に入っていた古い手紙を入手し、その由来を探るうちに自分の先祖となる女性たちの人生をたどっていくこととなる。

ユウ:東京の私立大学に通う女子大生。桃とともに「梅壺」に関わる人々の歴史や人生をたどっていくこととなる。



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