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「自分事」すらも「他人事」にすることで肩の力が抜けた感がある

中部地方の山奥に籠って、秋色に移り変わる自然を見つめながら、思考の海をただ漂うだけの数日を過ごしていた細貝です。(下の写真が、宿泊先近くからの風景)

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誰しもが、様々なストレスに晒される日々を過ごしている中で、ふとした時から肩の力が抜けた自分の内面を、今回は掘り下げてみようと思う。

「自己」を切り分ける思考


僕は、「意識としての『自己』」と「社会における役割の『自己』」を会話の中で使い分けている時がある。考え事している時もそうだ。

似たようなこととして、1人称を使い分けることは、男性によくある気がする。本記事を読んでくださっているあなたにも思い当たることはあるのではないだろうか。(それについて書いているnoteやブログも結構あった)

僕の場合は、それに加えて、さらに自分自身の名を呼んで他人事のように話すことがある。というよりも、「細貝」という別の人のことを話している感覚なので、自身としては本当に「他人の事」なのである。
おそらく僕と会話をしている人は、「細貝」と会話しているのだが、「細貝」ではない誰か別の人と「細貝」について話しているような奇妙な感覚に襲われていることであろう...(面倒な奴ですみません...)

さながら、遊戯王の初代主人公・武藤遊戯がもう1人のボク(闇・遊戯)と会話している状態と言っても良いかもしれない...(笑)
もしかしたら、この人は二重人格では!?と考えてしまう人もいるかもしれないが、それとは少し違う話である(と思っている)。

イメージとしては、下記の図のように「意識としての『自己』」の中に、「社会的な役割としての自己」(すなわち、「細貝」と名付けられた個体)がいるという整理である。

自己の整理

基本的には、「意識としての自己」が主として話しているのだが、自身について客観的な視点から話す場合には、この2つの自己を意識的に切り離すように話している。

意図してこうなった訳ではないのだが、思い返してみると、日常にあるストレスや仕事のプレッシャー、各種メディアからの情報・通知などの「刺激のシャワー」に対して、「意識としての自己」と「社会的な役割としての自己」を切り分けて会話や思考をすることで、自身のメンタルを安定させる一種の処世術のみたいなものだと考えている。

「自己分化」という概念

さて、自分の内面を自作の図までまじえて説明してみたが、自己満足の臭いが漂っているので、心理学や心理療法の辺りを調べていて見つけた概念を紹介してみようと思う。

それが、家族療法家のボーエンの概念の1つ「自己分化」である。
こちらのブログで結構分かりやすく書いてあったので、説明部分を引用する。

自己分化は、人間の心理の基本にある、「情緒システムと知性システムが、融合しているか、分化しているかの度合いのこと」です。      自己分化の度合いが高いと、ストレス状況や葛藤状態、不安の中にあっても、適切に対処できる可能性が高く、症状や問題を呈する可能性が、低いと考えられます。              自己分化の度合いが、低い場合は、情緒システムに支配されやすく、ストレス状況や葛藤状態、不安に対して脆弱(ぜいじゃく)で何らかの心身の症状や問題を呈する可能性が高いと考えられています。

こちらのブログでは、もう少し概念的な説明が書かれているので、補足として載せておく。

また、前回の記事で紹介したこちらの書籍でも、「自己分化」の考え方をもとにして、人間関係におけるジレンマや問題が説明されていた。
(タイトルにある夫婦・カップル間だけでなく、日常の人間関係にも使える内容が結構ある感じがするので、興味関心がある人はぜひ見てみてください)

元々は、心理療法の領域における概念ではあったが、オンラインでもオフラインでも真偽不明の情報が氾濫している今の世界を生きていく処世術として、活かせそうな気がしてならない。

社会課題と向き合う人達にこそ「自己分化」を

僕は、それなりの期間、社会課題に向き合う非営利の業界に身を置いてきた。行政施策によるサービスでは対応できない社会課題に対して、様々なNPOが日々活動をしている。制度・政策の狭間にいる方々に支援を届けるために、「現場」で頑張っている人達がいる。その中で、燃え尽きてしまう人も見てきた。

社会貢献や非営利の世界で仕事している人達は、社会課題やその当事者の人達と向き合うが故に、ストレスに晒されやすい状況にあるといえるであろう。しかしながら、当事者への「共感」を無くしては、NPOだからこそできる支援ができなくなってしまいかねない悩ましさもある。

そういう状況の人達にこそ、「自己分化」は有効かもしれない。今のところ、「細貝」のケースしか紹介できないが、社会貢献や非営利の現場で日々のストレスに悩んでいる人達にとって、本記事が少しでも役に立ったのなら嬉しい。

記事をお読みいただき、ありがとうございました!もしよろしければ、サポートいただけると日々の活動の励みになります!これからも日本の非営利活動のお役に立てるように、様々な機会に参加して得た海外のソーシャルセクターの情報や知見を発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします!!