現在進行形で、ほんとに危ない資金調達失敗シナリオ(特にシリーズBまで)

コロナを発端として、未曾有の経済危機に直面しています。株式市場もかなりの大荒れであることは皆さんご存知の通リだと思いますが、これは未上場市場も同様です。同時並行で、かつこれからも大きな動きがあると思いますが、最近起きていることを共有までに。皆さんも事前に準備して臨みましょう。

今起きていること

シードからシリーズB(くらいまでかな?)のステージにいる会社で、既存投資家が追加の出資を見送るという状況が出ています。これは色々な状況があると思いますが、

①ファンドのメインスコープのステージを超えたから
②既存の投資先間での資金配分の問題で優先順位を変えたから(予算がない)
③その出資先に失望して追加投資をやめた

あたりが良くある理由かと思います。

①は、シードステージを狙っているファンドがその後ずっと投資するのはファンドのスコープから外れていくので追加投資しないというもの(現在の持分を維持する分=シェア維持くらいはすることもあります)

②は、ファンドも資金上限がありますので、既存投資先に追加出資する予算の配分を考えます。この時、10社投資先があれば10社で追加投資の機会が基本的にはありますが、どう配分するかの選択を迫られます。各社の事業進捗やステージ、持っているシェアも違うので総合判断で決めると思います。その過程でA社の方に多めに資金を寄せたいので、B社はごめん!この辺で追加出資は抑えておこう、というものです。

③は、その会社への失望です。追加出資する気がなくなっちゃったというものですね。

何が問題なのか

では、これの何が問題になっているのでしょう。

それは、コロナの影響を受けたスタートアップでは、
売上→急激に減少(減少予想)
コスト→頑張って削減するが限界がある(固定費をそんなに簡単に圧縮できない)
という状況で、融資や増資に走ることになります。

直撃くらいに影響がない会社でもきれないCash is King。集められるだけ資金を集め、コロナの長期化、その後のリセッション可能性に備える、また今後調達環境が悪化しても手元に現金を持っておくというビヘイビアーになります。

この時、新規の投資家は保守化しているので、「この会社本当に大丈夫か?」「バリュエーション高すぎないか」「コロナが長引いても、景気悪化しても耐えられる会社なのか?」をシビアに見てきます。様々な前提条件が変わっているのでこれら自体は普通のことなのですが、

ここで問題になるのが、既存投資家(特にリード投資家)が出資しないという状態です。

新規投資家の心理状態が保守化している中、既存投資家がどう振る舞うかは非常に影響を与えます。既存投資家は、ずっとその会社とやり取りしていて、会社や経営陣の将来性・信頼できるかを一番わかっている人であるはずだからです。

上述の①②の状況であっても、自信あるなら追加出資するはずです(少なくてもシェア維持)それがされないのは「これまでに何かあったな(=③)」と思うのです。

なので、既存投資家、特にリード投資家がボトルネックになってしまい、新規投資家の呼び込みが遅れる、あるいは失敗するというのがやばい問題です。

特に、シリーズBくらまでのビジネスが売上利益的ににも順調に回っていく手前のステージにおいては、様々な点において不完全です。商品でいえばまだ作っているフェーズ。なので完成されていない点は不安材料が想起される材料はいくらでもあります。

人間は不安・リスクの方が強く感じる生き物ではありますが、投資家が保守化し、石橋を叩いて叩いてという状況においては調達の成否に影響し、それは資金繰りすれすれで勝負しているスタートアップにおいては生死を分ける問題です。

では、既存投資家が悪いのか?

投資家はその時点でのリスクマネーを提供するのが役割なので、当然のごとく「永続的に投資してくれ!」「何で投資してくれないんだ!」と投資家を責めるのも本来的におかしな話です。本来的に言えば、投資家はその時に取るべきではないリスクは取れません。マーケティング上のフレーズはあっても、ファンド運営している以上、善管注意義務に問われます。ファンドの出資者への説明責任も負います。

逆を言えば、出資すべきと思う会社には出資します。仮に、出資を受けた時から狙っている事業が順調で、コミュニケーションもばっちり、今後も明るい!という条件が整っていれば増資したいと言えば喜んで資金を提供するでしょう(そんな会社はないと思いますが)

スタートアップの経営側は、自分たちは当初のように成長できているのか、生まれる事業課題に対してしっかり対応できていたか、★成功失敗に関わらず投資家に対して説明責任を果たし、適切なコミュニケーションをとってきたか。それを振り返るべきです。

特に、★が重要です。辛い時ほど、過去の信頼関係やしてきたことが発露します。みんな同じ船に乗っている仲間です。だから、改めて振り返りましょう。しっかり向き合って対話しましょう。どうサバイブするか、将来どう盛り返すかを語りましょう。

今できることは何か?

まず、現在進行形で調達局面にあるスタートアップの方
・既存投資家としっかりと話しましょう
・新規投資家ありきのシナリオは後回し。まず既存で支える。運がよければ新規投資家が入る位で考える方がよいです。
・過去の自分の姿勢を振り返り、ちゃんと投資家と向き合いましょう。

それでも投資してもらえない場合、早く戦略を切り替えてこの苦境を乗り越えましょう。明けない夜はない、ただ今回は長いかもです。厳しい問題や判断が連続すると思いますが、先回り・保守的に考えること、乗り切れば大きいです。3年後5年後に「こんな時代あったんだぞ」と語れるように。しっかりやっていれば救いの神は現れます。

そして、既存投資家の方。

ファンドの利益最大化がありつつ、ドライに切るのは簡単ですが、本当に会社死んじゃうので、できる限り良い着地を探って頂きたい。会社が乗り越えられるシナリオがあるなら乗って頂きたいし、仮に出資できなくても全力でご支援頂きたい。そして、前もって会社のランウェイを把握してコミュニケーションをとって頂きたい(投資家の方が経験値あるはずだから)

バリュエーションの問題なら、低くして出資すれば良いし、もし成功すれば数年後に大きなリターンとして帰ってくるチャンスでもあります。「こんなつらいときに出資してくれた投資家」と評価をしてもらえるかもしれない。判断はあるかと思いますが、できる限り支えて頂きたい。

最後に

現在進行形で深刻な問題続出、日々色々な角度から会社を見つめなおしている日々だと思います。つらいですよね。

ただ、これは良い機会かもしれません、更に強くなるための。朝の来ない夜はない。10年後振り返った時に思い出として明るく語れるよう、頑張っていきましょう。


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