不満ビッグデータからみえる冷蔵庫への期待変化
こんにちは。Insight Tech CEO 伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向けて不満買取センターを運営しています。
このnoteでの連載として「先週の生活者不満」をお届けしています。
この企画は毎週月曜~木曜日に放送されているJ-WAVE TOKYO MORINING RADIOの毎週水曜日のコーナー「データから導く<Better Life>」と連動しております。毎週ナビゲータの別所哲也さんに先週の生活者不満からみえる「Better Life」をお届け頂いています。是非ラジオもお聴きください。
今週は、夏の特別編ということで、暑い日々を支えてくれるパートナーともいえる”冷蔵庫への不満”から生活者の期待を紐解いていきたいと思います。
不満買取センターに寄せられた声を自由に検索・分析できる不満ファインダーで分析してみました。
冷蔵庫に関わる不満は2年間で11,673件寄せられていました。まだまだ冷蔵庫への「あったらいいな」が沢山残されていることが分かります。
この約2万件のバイアスがない不満の声を分析すると、新しい冷蔵庫への期待が明らかになりました。
1.冷凍庫周りの不満が多い
まず、冷蔵庫への不満で「何に対する不満が多いのか」をAIで抽出・集計してみました。
すると、冷蔵庫に次いで”冷凍庫”、”氷”と冷凍庫周りの不満が多いことが分かりました。野菜室などと比べても多く、冷凍庫の使いにくさが生活のなかに拡がっている可能性がうかがえます。
実際の不満の声を見てみると、忙しい日々を支える”作り置き”や”冷凍食品”を保管しておくための冷凍庫に対する期待が高まっていることがうかがえ、これが冷凍庫の容量不足感につながっていることが分かります。
2.省エネに関する期待も高い
続いて、家電の基本的な構成要素にどれくらい該当するかを比率で集計してみると、「容量」に次いで「省エネ」が多くなっていました。
物価高や電気代高騰のなかで、冷蔵庫に対する省エネ意識が高まっていると言えそうです。実際の不満の声を見ても、「庫内の明るさを暗く調節できれば電気代の節約になるのでは」とのアイデアも聞かれ、冷蔵庫の節電対策への期待の高さがうかがえます。
3.掃除のしやすさが重視されている
続いて、AIによって判定される「負の感情の強さ」から見える優先課題から生活者の期待を探ってみると、新たな期待が炙り出されました。
「冷蔵庫の掃除のしにくさへの対処」です。
衛生意識の高まりもあり、冷蔵庫を綺麗にしておきたいというニーズが高まっており、「隅々まできれいに掃除しやすい冷蔵庫」が生活者の期待に応えられそうです。
4.まとめ「材料庫ではなく貯蓄庫」
冷蔵庫の不満をみると、「冷凍庫をもっと広く」「省エネ」で「掃除がしやすい」冷蔵庫であってほしい、という期待が炙り出されました。
ここから「冷蔵庫への期待が変わっているのでは」との示唆を得ることができるのではないでしょうか。
具体的には、冷蔵庫はもはや調理の為の材料を仕舞っておく「材料庫」ではなく、忙しい日々の手間抜きを支える「貯蓄庫」という位置づけに変わっているのではないかと考えます。
だからこそ、冷凍庫にゆとりが欲しいし、電気代も気になる。すぐに食べるモノを仕舞っておく収納庫のような存在なので清潔であってほしい、という期待が生まれ、その裏返しとしての不満が生まれているのではないでしょうか。
そんな冷蔵庫への「期待の変化」を踏まえると、「忙しい現役世代を支える手間抜きサポート冷蔵庫」のようなものが発売されれば、不満を価値に変えることができると考えます。
冷凍庫が大きめで、センサーやカメラで冷凍庫のストック状況が可視化され、献立検討をサポートするだけでなく、冷凍食品のサブスクサービスと連動して冷凍庫の貯蓄をサポートしてくれる。そして省エネで掃除がしやすい。
そんな冷凍庫が不満をイノベーションに変えてくれそうです。
このように、不満の声をみることで、モノに対する期待の変化や具体的なオケージョンを炙り出すことが可能になり、そこから新しい価値を生み出すことに繋がるのです。
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