プロデューサー大矢が解説する綾戸智恵ニューアルバム「Hana Uta」
I Dreamed A Dream
アルバム1曲目のこの曲は2021年12月20日(月曜日)音響ハウスの第1スタジオでレコーディングされました。ミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌で数多くの実力派シンガー達がカバーをしています。近年では2009年にスーザン・ボイルがオーディション番組で歌唱し、YouTubeでの再生がなんと1億回を超え!世界中の話題になりました。同名のアルバムは全米・全英で1位を獲得したそうです。めでたし、めでたし。
綾戸智恵バージョンのミソはエンディングを転調しないで終わるところ。全てのバージョンを聞いたわけではないのですが、劇中歌ということで転調してドラマチックに盛り上がって終わるのがこの曲の王道のようです。大団円。そしてまさにそこが歌い手さんの魅せどころ、聞かせどころというのでしょうか。が、綾戸バージョンはそれをやりません。静かに終わる。これは綾戸さんのこの曲の解釈からのアレンジです(歌詞を解説している綾戸のライナー・ノーツ(初回限定盤CDに掲載)を是非ご参照下さい)。
この曲は最初ピアノの弾き語り+宮川純くんのオルガンで録音を始めました。しかし、なかなかしっくりこない。若干煮詰まったかな、と思った時に綾戸さんだったか、自分だったか、純だったか、見ていた鈴木正人さんだったかが「オルガンだけでやったほうが良いんじゃない?」と提案。でやった2テイクのうちの一つが今回収録したテイクです。
宮川純くんは30代半ばなので世代なりというかコンテンポラリーなスタイルのキーボーディスト(売れっ子!)だと思うのですが、実はトラディショナルなスタイルでも演奏できるし、そこも魅力的だと思います。彼自身もそういうスタイルも大切にしていきたいと言っていました。King GnuやWonkのメンバーとのコラボレーションと、ベテランジャズギタリスト・橋本信二さん(残念ながら2020年逝去)とのオルガン・トリオを両立することのできる稀有なプレイヤーだと思います。そんな彼の厳かで美しくゴスペルなオルガンを背景に抑えめに歌われる「I Dreamed A Dream」。こんなに地に足のついたバージョンは他に無いと思います。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」の「I Dreamed a Dream」で幕を開けアリシア・キーズの「If I Ain't Got You」やこの時代にもう一度歌いたかったマービン・ゲイの「What's Going On」、自身のリスタートと重ね合わせた「Let Me Try Again」、スキャットを軽快に聞かせる「Billie's Bounce」、ブルース・ロックに挑戦した「I Love You More Than You'll Ever Know」など、JAZZ、Blues、Gospel、Soul、Pops、バンドあり弾き語りあり、綾戸知恵が65歳でお届けする節目のアルバムです。11月18日(金)にはグローリアチャペル キリスト品川教会にて共演者に宮川純を迎えリリースライブを行うことが決定!チケットはイープラスにて好評発売中。