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その26『すき』〜であるが故に中尾さんは飛ぶ〜

『#私は私のここがすき』

このタグを見かける度に自問自答していました。
『私は私のどこがすき?』って。
中々、答えは出ないものですね。

そもそも『すき』って何?
『すき』だったらどうなる?
そんなことを考えていたら…

僕は空中にいた

これはスピリチュアルな話でも、俯瞰を極めた訳でもありません。
先週の少年野球の練習で。
僕は生まれて初めてダイビングキャッチを試みたのです。

noteに書いてなかった事実があります。

僕は野球経験がゼロなのです。
未経験で少年野球のコーチをやっています。

現在チームスタッフとして3年目です。
1年目はサポーター(お手伝い雑用)でした。

野球人口の減少は、指導者の減少そのもの。少年野球の場合、部員の父親が指導者をやるケースがほとんどのため、部員減少はそのまま指導者減少なのです。
きっかけは、猫の手も借りたいチームからのスカウトと、それに対する妻の『やれ』の一言。
当時、僕は鬱病と重い腰痛に苦しめられていました。そんな僕を見かねた妻なりの荒療治だったのかなと今になって思います。

1年目の僕に与えられたミッション、それは
『外野で暇そうにしている子とキャッチボール』
僕のキャッチボール人生が幕を開けたのです。

平日フルタイム勤務。
土日祝フルタイム野球。
ここに息子達との朝練夜練が加わりました。
夏は40℃、冬は0℃。
子ども達とボールを追いかける日々に、僕の不摂生とうつ症状は改善されていきました。

キャッチボールは、物理的な非言語コミュニケーションとして非常に優秀です。
言葉がボールに代わっただけ。
キャッチボールの何が素晴らしいかと言うと、フィードバックの早さだと思います。
『構えや動作』『感情や思考』がボールの軌道として即時フィードバックされます。
例えばイライラ状態だと、荒れ球になるし、ストレスを感じてたらボールが失速したりします。
逆に相手に対する敬愛の情でもって臨めば、素晴らしいボールが飛んでゆきます。
また、その感情はボールだけでなく、その投球フォームからも伝わってきます。

だから僕は、すべての子どもに対し、手を抜きませんでした。それはもちろん豪速球を投げたという意味ではありません。
初心者の子どもでも捕れるボールを敬意をもって投げ続けたということです。
そして、どんなボールも全力で捕り続けました。
そこから得られる1フィードバックから10を知るように。
子ども達には僕が初心者だと言うことを伝えていました。見栄なんて張るもんじゃない。

僕の成長を見ていろ。
僕は君たちより上手くなれないかも知れない。
身体も重いし、怪我もしやすいから、君たちのように飛び込めない。
だけど、このグラウンドで一番の野球好きにはなれる。その背中を見ておけ。

その心意気で練習に取り組む内に、変化していったのはグラウンドでの僕の呼び名でした。
最初は『◯◯(長男次男)のパパ』と呼ばれていたのが、『中尾さん』に変わり、今では完全に『中尾コーチ』に変わりました。

周囲はプロを目指していたことのあるような経験者ばかり。そんな中に未経験で突っ込んで周囲を認めさせる原動力。

それが一体、何なのかをずっと考えてました。

あの日、守備についていました。
カーン!という音ともに右方向に転がる打球。
考えるより先に脚が動きました。
そこに左手のグラブが届くか届かないか、
そんなことはもうどうでも良かったんです。

『野球楽しい!すき!怖くない!』

そう感じた瞬間、ボールに飛び込んだのです。
190cmの僕の身体が完全に地面と平行に。
惜しくもボールはグラブの下を通過。捕球失敗。 
そのまま身体の前側全部で着地。
衝撃で後ろポケットに入れていたスマホが時間差で吹っ飛びました。

たまたま側にいた長男次男。
『ととが飛んだん初めて見た!』
『飛べるんやなぁ』
クララが立ったレベルの衝撃だったらしく、目を丸くしていました。

着地の痛みも、捕れなかった事もどうでも良くなるくらい、頭から飛び込めたということが嬉しくて嬉しくて。。。
3年前、寝たきりに近かった僕が、今、グラウンドで土にまみれて横たわっています。
3年前、辛くて辛くて一人で落ち込んでいた僕が、今、グラウンドで皆と笑っています。

いいかい息子たち。

『すき』は不可能を可能にして、

『すき』はその可能性を最大化する。

僕のnoteだってそうさ。
文章を書くことに生命をかけている方々ばかりの中にあって、学歴も読書習慣もない、日記をつける習慣もない、ただただ、伝えることと表現することが大好きなだけで、僕はここに来た。
専門家が見れば、推敲されまくりであろう自分語りに魂を乗せた。関わる全てが良くなれの願いも積んだ。未だ関わらぬ人達との出会いも祈った。フォロワーさんの向こう側に、たくさんのnoterがいる。その遥か向こうにハッキリと三人の息子たちが見える。

僕は僕の形振り構わないところがすき。

フウセンカズラ
花言葉は『飛翔』


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