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ずっと気になっていたnoteを始めてみようと思います。 書くことは好きだけど、書くこと…

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ずっと気になっていたnoteを始めてみようと思います。 書くことは好きだけど、書くことを思いつくのが苦手! ひとまずは本の感想を書きます。ネタバレはしないようにしています。

最近の記事

「床下仙人」を読みました

原宏一さんの「床下仙人」を読みました。 短編が5つ入ってる。床下仙人、天ぷら社員、戦争管理組合、派遣社長、シューシャインギャング。 それぞれは関連のない別の物語だけれど、どれも話の進み方が突飛で、主人公の男性が思いがけない展開に翻弄されていくのが面白かった。 「派遣社長」が一番楽しめたかな。あり得ないような話ではあるんだけど、突き抜けた理屈に丸め込まれて、あってもおかしくないなと思えてきてしまう。笑ってしまった。 「シューシャインギャング」も好き。でも、20年くらい前

    • 「南の子どもが夜いくところ」を読みました

      恒川光太郎さんの「南の子供が夜いくところ」を読みました。今回は電子書籍で! 不思議なお話だった。 私自身の話になるけれど、夢の中で建物のどこかを移動している時など、何となく不穏なものを感じて落ち着かないことがある。薄暗い。電気をつけてもきちんとつかない。どの部屋も様子がおかしい。日常のはずなのに、そこにいる人も物も風景も、何とはわからないけれど何かが違う。これはよくない感じだと気付くと、ふつふつと恐怖がこみ上げてくる。そこで夢だとわかる場合は、必死で目覚めようとする。

      • 「at Home」 を読みました

        本多孝好さんの「at Home(アットホーム」を読みました。 映画化される書かれていたので長編かなと思っていたのだけれど、中編くらいの長さの作品が4つ入った小説集だった。 ■表題の「at Home」 80ページほどの作品だけれど、読み応えあった。先が気になる展開でどんどん読まずにはいられなかったし、彼らが大切な家族を守ろうとする強い思いにグッときてしまった。 長編を読んだような読後感だったもんなあ。余韻もあって。こりゃ映画化もされるよね。 ■日曜日のヤドカリ 4つの

        • 「桜のような僕の恋人」を読みました

          宇山佳佑さんの「桜のような僕の恋人」を読みました。 大号泣したからとお友達にオススメしてもらったのだけれど、何度か軽く涙腺が刺激されただけで終わってしまった。心が冷たいんですかね…。泣くって聞いてたから、多少、身構えてしまってたのかな。 たびたび出てくる匂わせも要因だったかも。「決して叶うことのないその願いを……」とか、「その願いが天に届くことはなかった」とか。そんな風に言われたら流れをイメージして覚悟してしまう。 文章が、本人視点と神様視点が入り乱れている感じがして、

        「床下仙人」を読みました

          「和菓子のアン」を読みました

          坂木司さんの「和菓子のアン」を読みました。 デパ地下の和菓子売り場が舞台。 私自身は、和菓子はまあ好きな方ではあるものの、特別に好きってわけではないし興味もそんなにはない。どら焼きやお煎餅はよく食べても、ほかのものにはあまり縁がない。練り切りなどは、見た目が違うだけで味はどれも同じなのかと思っていたくらいだし。 でもここに出てくる上生菓子の説明を読んでいると、つくりの繊細さ、丁寧に考えられた素材と形、物語の豊かさに驚かされた。興味も湧いたので、次に食べる時にはちゃんと味わ

          「和菓子のアン」を読みました

          「誰にも書ける一冊の本」を読みました

          荻原浩さんの「誰にも書ける一冊の本」を読みました 父親が危篤。会いに行った病院で、父が書いていた手書きの原稿を母から渡される主人公。 父の原稿パートと、主人公の記憶や想いが綴られるパートが交互に描かれていく。割と淡々と進むかな。作品を読み、知らなかった父親の過去を知るにつれ、あまり理解し合えていなかった父親に対する気持ちも変化していく。 文章を通して距離が縮まり、それは喜ばしいのだけれど、双方向でないのが切ない。話ができなくなる前に、それを伝えられたらよかったのに。

          「誰にも書ける一冊の本」を読みました

          「彩乃ちゃんのお告げ」を読みました

          橋本紡さんの「彩乃ちゃんのお告げ」を読みました 小学5年生の女の子なのに、とある宗教団体の教主さまだという彩乃ちゃん。 設定はすごいけど、主人公と彩乃ちゃんとの日々は穏やかに過ぎて行く。 人生のワンシーン、本当にちょっとした分岐点。これを間違えてもひどいことにはならないかもしれないけれど、彼らは彩乃ちゃんと関わったことでいい道を選べたのかもしれない。 お告げというか、そっと手を添えてくれるというか。それは友人の助言のようなもので、彩乃ちゃんとの時間があったからこそすんな

          「彩乃ちゃんのお告げ」を読みました

          「誰かが足りない」を読みました

          プロローグではピンと来ず、「予約1」も惰性でやっと読んだような感じで、やめちゃおうかなという気持ちが頭をよぎったり。 でも「予約2」からは、どれも主人公の行く末が気になってすんなり読めた。主人公が感じていることに共感できた。とは言え、何となくよそゆきの言い回しや少し現実から距離がある感じの文体のせいか、あまりどっぷり入り込めなかったかも。心が馴染むような馴染まないような感覚で読み終えた。 足りない誰かのせいで心が折れそうな日もあれば、その誰かのお陰で前を向ける日もある。ハ

          「誰かが足りない」を読みました

          「スタフ staph」を読みました

          面白かったー! こんな勢いで読める本を求めてた。なんか、激しい展開ではないのに先が猛烈に気になって、ぐいぐい読んでしまった。ちょこちょこと展開があり続けるからなのか、主人公の気持ちがわかりやすく伝わってくるからなのか、とにかく早く先へ早く先へと読み続けた。ずっとちょっとドキドキしてた。 あまり小難しいことばを使っていないから、わかりやすい。新鮮な表現や比喩があるのも楽しかった。 人は嘘をつくし、弱いし、自分の良いように動く。つらすぎることには無意識で感情に蓋をする。そして

          「スタフ staph」を読みました

          「春から夏、やがて冬」を読みました

          歌野晶午さんの「春から夏、やがて冬」を読みました。 ところどころ、何となく読みにくさを感じた。場面が変わるといつの話なのか『???』となって少し戻って確認したり、会話がどっちが言ってるのかわからなくなって立ち止まったりしてしまった。 そのためなのか、のめり込むほどのスピードでは読めず。 ラストは、そうかそうだったのかと驚かされたけれど、そこまででもなかったかな。 描かれてる人たちが割とみんな辛い境遇で、不憫。読んでいる間、何だかずっといたたまれない気持ちなんだよなぁ。

          「春から夏、やがて冬」を読みました

          「木曜日にはココアを」を読みました

          青山美智子さんの「木曜日にはココアを」を読みました。 わかりやすい文章でさらさらっと軽く読める。 シドニーがちょこちょこと出てくる。よく見たら、『東京とシドニーをつなぐ12色のストーリー』と書いてあった。シドニーは新婚旅行で訪れたので、親しみがある。 全体的に、優しいお話。悪いことにはならない感じがずっと漂っているので安心して読めた。前のお話に出てきた人が次のお話では主人公になっていて、スムーズに読み進められる。リレーをしているみたい。人と人はつながっている。 ちょっ

          「木曜日にはココアを」を読みました

          「烏百花 螢の章」を読みました

          阿部智里さんの「烏百花 螢の章」を読みました。八咫烏シリーズの外伝。 外伝だけあって、意外なひとにスポットが当たっているお話もあった。あの八咫烏シリーズの見えないところでは、こんな展開があったんだなあとしみじみ感じ入りながら楽しめた。 まつばちりて、ふゆきにおもう、わらうひと が特に好き。ぐっときちゃうよね。ゆきやのせみ はまた別の良さ。 秘めた想い、明かす想い、後から知る想い。相手の気持ちを完璧にわかることなんてできないからこそ、物語が生まれてくるのかもしれないな、な

          「烏百花 螢の章」を読みました

          「弥栄の烏」を読みました

          読み終えてしまった…面白すぎた…。 阿部智里さんの「弥栄の烏(いやさかのからす)」を読みました。八咫烏シリーズ6作目。 5作目のお話を別視点から見たストーリー。だから流れはある程度わかっていたのに、先が気になりすぎて、読むスピードが足りずにもどかしいほどだった。スポットが当たる場所が違うだけで、こんなにも違う物語になるんだなあ! 描かれている喜び、悲しみ、憎しみ、どれも激しかった。どの登場人物についても気持ちがわかってしまい、感情移入が忙しくてクタクタになった(笑)。

          「弥栄の烏」を読みました

          「玉依姫」を読みました

          阿部智里さんの「玉依姫(たまよりひめ)」を読みました。八咫烏シリーズ5作目。 なんかもう、すごいなって思った。今回は山内のことほぼ出てこないし、今までの話からしたら裏話というかその後の話というかそんな方向。それでいて、これなしでは今までの3冊も語れないよねという、軸の話でもあった。 序盤、志帆が出てきた時、真っ先に十二国記の陽子を思い出した。似たような展開になったらちょっとイヤだなと思いながら読み進めたけれど、当然のようにまったく違うストーリーで。 登場人物たちがみんな

          「玉依姫」を読みました

          「空棺の烏」を読みました

          阿部智里さんの「空棺の烏(くうかんのからす)」を読みました。「烏に単は似合わない」「烏は主を選ばない」「黄金の烏」に続く、八咫烏シリーズ4作目。 3作目があんなに面白かったのに、4作目もこんなに面白いなんて! 今回の主な舞台は、山内衆の養成所である勁草院。ここでの生活が描かれていくってことはそんなに激しい展開はないかなーと思いつつ読んでいたら…、だいぶ激しかった(笑)。 ストーリー展開もさることながら、登場人物たちに見え隠れする苦悩や男同士の友情なんかがたまらないエッセ

          「空棺の烏」を読みました

          「黄金の烏」を読みました

          阿部智里さんの「黄金の烏(きんのからす)」を読みました。 はぁぁ面白かった…! 「烏に単は似合わない」「烏は主を選ばない」に続く、八咫烏シリーズの3作目。 前2作のようなテンポのつもりで読み始めたら、とんでもなかった。『えっなにこんなスピード感なの!?』と思ううち、あっという間に引き込まれ、ページをめくる手よりも目が先に行きたがって追いつかない状況に。こういうの久しぶり。途中、面白すぎて逆に途中で手を止め『はぁぁ〜〜〜』ってなった。 残虐な事件、怪しい生存者、地下街と

          「黄金の烏」を読みました