見出し画像

わくちゃんの冒険

こんにちは😊今回は創作話をひとつ。

自分の考えや感情と距離がとれなくなって、何が本当に言いたいのか見えなくなってしまうこともあるかもしれません。私の場合、イメージに置き換えると現状を捉えやすくなることがあります。

ある時の私の中のイメージをもとに短いお話を書いてみました。私が行動を起こすきっかけとなった、内的プロセスのお話です。


第一話「わくちゃんと閉ざされた門」


私の中にはわくわくを司る「わくちゃん」と
自分の大事な領域を守る分厚い外壁と分厚い門を守る「門番」がいた。

わくちゃんは長らく自分の世界から出ることができなかった。
でもあるとき、ふと分厚い門の外の世界には何があるんだろうかと興味をもった。

門番は、じっと門のそばにある物見小屋からこちらを見ていた。
わくちゃんはその門番の存在を感じるととても委縮してしまった。
とても自力で門を開けることはできない
門の周りの壁だってベルリンの壁のように高くそびえ立っていて外を覗くこともできない
自分にはそんな力はないんだ
そう門番に言われている気がしたし、わくちゃんは自分でもそう思って動けなかった。
そのうちに自分から外に出たいとも思わなくなった。

でもあるときまた、外の世界が見てみたくなった。
「本当にやってみたいこと」ができたから。

でも門の前にはあの門番がいる。
また打ちのめされてしまうかもしれない。
でも話してみなければ門を開けることはできない。
そう思いながら門番の方を目をこらしてみた。
門番ってどんな姿をしているんだと
初めてちゃんと見ようとした。

向かい合ったら見えた。
小さくてぬいぐるみみたいな門番の姿が。
わくちゃんは多少動揺した。
だって門番って大きい体でするどくこちらをにらみつける、怖い存在だと思っていたから。
ずっとそう思ってきた。
それは自分の中で作り上げられたイメージだったんだ。
そう思ってよく周りを見回してみると
分厚くベルリンの壁かのように立ちはだかっている壁も、分厚く閉ざされた門も
実際にはなかったのだ。

開けようと思えば開けられる門と、よじ登ろうと思えばよじ登れる壁とに囲まれた空間に
わくちゃんは居た。
わくちゃんは長らく自分が作り出した過酷なイメージの世界の中で生きていたんだ。

そして門番がわくちゃんの元に降りてきて言った。
「君にはとても行動力があるが、多少危なっかしいところもある。
うさぎの足にバネをつけたような、跳び上がったらどこに跳んでいくかも分からないところがあった。
だから今まで勝手なことをしないように見守ってきたんだ。
君が外の世界に行くというなら
僕も一緒について行って君のことを守るよ」

どんと構えて上からわくちゃんのことを見おろしていた(ように見えた)門番が
持ち場から降りてきてわくちゃんの横に立った。
二人は向かい合うことができた。
門番はわくちゃんの熱い気持ちにおされて
一緒についていく「仲間」になった。
わくちゃんの相棒は「門番」ではなく、わくちゃんを守る存在の
「まもるくん」になった。

一人で行こうとしていた外の世界
気づけば近くになかまの存在がいた。
独りぼっちじゃなかったんだ。
ふたり一緒ならどこへでだって冒険できる
そんな気がする

飛び出した門の外の景色はとても広くて明るくて雄大だった。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?