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ロイヤルクレセント イギリス世界遺産:ジョン・ウッド親子の建築 バース編②

 今回はバース編、第2弾ということで、バースの街並みを見ていきます!バースは街全体が世界文化遺産に登録されており、歴史遺産が非常に多く残っています。


バースのランドマーク:サーカス

バースの建物はなぜ黄色い?

 まず、私がバースに降り立って目に入ったのは外壁の色です。こちらの写真の外壁のように、バースの建物はとにかく黄色い。建物フェチの私の第一声は「きいろ~い!」でした。笑
さて、バースの外壁、なぜ黄色いのでしょうか?調べてみました!

 外壁に使われているのは石灰岩です。これはバース・ストーンと呼ばれ、バースがあるサマセット州で採れる石だそうで、古くから建築に使われてきました。
 まだ人類が誕生する前、バースは海に覆われており、その頃から蓄積されできた石で、他の多くの石と違い断面に地層のレイヤー模様がないため、どの部分も自由にカットでき、非常に建築に使いやすいとのこと。また、この黄色はハニー色と呼ばれ、現地では黄色というよりも、はちみつ色と認識されているようです。

 土地によって地層が違うので、外壁の色も変わる、面白いですよね。
確かにイギリスは街によって建物の色が違って、毎回不思議に思っていました。知らない土地を訪れるときそれを見るのも楽しみのひとつです!

世界遺産「ロイヤルクレセント」

 こちらはバースの見どころの一つ、ロイヤルクレセントです。
この円のような緩やかなサークルと色が美しいですね。開けた場所にあるので、見えた瞬間思わず「わあ~」と感嘆の声が漏れました。

 このロイヤルクレセントは建築家ジョン・ウッド(息子)さんにより、1767年~1775年にかけて建築されました。こちらは30棟の家から成り、富裕層向けの別荘地として建てられたそうです。18世紀を代表するジョージア建築で、イギリス建築史に大きな影響を及ばせました。ちなみにジョン・ウッドさんは父と息子が同じ名前のため、資料にはジョン・ウッド(父)ジョン・ウッド(息子)と表記されています。(英語だとelderとyounger)
ええ?ややこしー!笑

ジョージア建築とは?

 ジョージア建築は18世紀に発達した建築様式で、ロンドンなどでよく見られる、縦長で横にずら~っと繋がっている住宅などがそれにあたります。(ちょうどいい写真がなかったのでまた写真をとっておきます!)
Theイギリス!という感じのよく見る建物ですね。外壁は平面な感じでシンプルなデザインが特徴的です。

三日月形の曲線と広場の対比

 このロイヤルクレセントの特徴は、なんといっても三日月形の曲線の美しさです。そして、目の前の芝生とのコントラストも相まって、バースストーンの黄色が生えて美しさが増しております。この芝生との対比もジョン・ウッド(息子)さんのアイデアで意図して設計されたようです。当時は閉鎖的な空間が多かったバースですが、開けた開放的な空間を意識して作ったようです。他の人からは思いもよらないアイデアは、当時脚光を浴びたでしょうね。
 芝生の所に段差があるのが見えますでしょうか?あの段差もデザインの一部で、家畜などの動物が入って来れないようにするため、とどこかで読みました。富裕層向けの住宅ですから、静かに暮らせるようそういった配慮もしていたのでしょうか。細かいこだわりを感じますね。

 むかって右端には博物館があり、建物内の当時の暮らしを見学できます。
また住宅の一部はホテルになっており、宿泊もできるようです。気になった方はぜひチェックしてみてください。

 何百年たっても訪れる人が絶たないので、ジョンさんも建てた甲斐があるでしょうね。芝生の広場を越えると、入口にはこのようなガーデンがありました。綺麗ですね。

建築家ジョン・ウッド親子について

 さて、さきほど紹介したジョン・ウッド親子ですが、バースの数多くの建築に携わっています。どちらも建築業界において有名人だったよう。
そんな建築親子について、調べてみました!

ジョン・ウッド(父)1704-1754

 まずはお父さんのほうですね。ジョン・ウッド(父)さんは1704年生まれ。バースの近くの町のご出身で、高い水準の教育を受けていたそうです。

 ちなみに、ジョン・ウッド(父)の父、つまりはジョン(息子)のおじいさんにあたる人物ですが、(ややこしすぎてすみません笑)
おじいさんが、もともとバース地方の建築関係のお仕事をされていたようです。代々に渡る建築一族ということになりますね。きっと華麗なる一族だったんでしょう!

 ジョン・ウッド(父)さんは、建築家となった後、バースの様々な建築に携わっていきます。ジョン・ウッド親子を抜きにしては、バースの建築は語れないほどです。また、ジョン・ウッド(父)さんの建築には、フリーメイソンのシンボルが多々使われており、会員だったのではという噂もあるそうで。シンボル入れちゃうあたり、もう隠す気ないやん!と思いますが、私は確認が取れておりませんので、バースに行かれる方はぜひ探してみてください!

ジョン・ウッド(息子)1728-1782

 息子さんは若いころから、お父さんに建築のノウハウを教わっていたようです。1754年にジョン・ウッド(父)さんが亡くなった後は、ジョン・ウッド(息子)さんがバースの建築改革を引き継ぎます。その後、ロイヤルクレセントを始めとする、彼の建築は世界遺産にも登録され、イギリスの建築史において重要人物となっています。

 またお父さんとは少し趣向が違っており、息子さんのほうが装飾がシンプルで洗練された雰囲気だとのこと。ロイヤルクレセントにその趣向が表れていますね。親子の違いなども意識しながら見てみると、新たな発見ができ面白くておすすめです!

 ぜひバースを訪れる際は二人が設計した建物をじっくり観察してみてください。

親子2代にわたる建築「サーカス」

 さてこちらは、サーカスという建物になります。建物が緩い曲線を描いており、真ん中の広場を囲む形で円になっています。こちらもジョン・ウッド親子の建築です。ただし、ジョン・ウッド(父)さんが建築開始後、数カ月で亡くなり、息子さんが後を引き継いだ形になります。
 サーカスは1754年から1769年にかけて建てられ、こちらもジョージア建築となっており、サーカスとはラテン語で円や輪という意味があるそうです。  
 設計はお父さんがされたので、息子さんが設計したロイヤルクレセントより、装飾が凝っているそうです。そういわれてみると、確かに少し装飾が多いように感じます。みなさんわかりますかね?見比べてみると、窓の上下の装飾や屋根の部分など、デザインが凝っていますよね!面白いですね。

 ハニー色がまろやかでかわいいですね。このサークルに向かう道のゲイ・ストリートはジョン・ウッド(息子)さんの建築になりますが、そちらにはジェーン・オースティン博物館があります。そちらについてはまた次回ご紹介します。

 さて、今回はここまでとなります。今回は18世紀の建築を見ていきましたがいかがでしたか。前回のローマン・バスより、色が明るく、形もイギリスならではといった建物でしたね。
 親子でもデザインへの意識が違ったり、3世代に渡る建築一家のストーリーはどのようなものだったのか、想像すると楽しいですね。バースは歩くだけで18世紀の世界観を満喫できるので、ぜひ堪能しながら散歩してみてください。

ここまで読んでくださって、どうもありがとうございました!ではまた!

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