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【命のお話】1人で大海原へ航海はできないんだよ。

ある日、親友が自ら命を絶とうとしていた。

私はその子にこう言った。
私は思ったことを言語化するのが苦手だけど、どうにかこの想いだけは伝えたくて。

「Mちゃんの命がひとつの船だとするね。Mちゃんは海を航海してるとする。Mちゃんの船にはあなたがこれまで生きた中で関わった人、学生時代の親友、そしてもちろん私も何人か少なくとも2人以上は乗ってるの。それはね、人は1人では生きていけないから。その船が転覆しちゃうと、Mちゃんだけじゃなくて、その船に乗ってる人は全員転覆しちゃうの。」

私は自分の親を自殺で無くしている。
大切な人を失う悲しみを知っている。

大切な人の骨を骨壷に入れる悲しさ。虚しさ。
知ってる。


転覆するというのは、船の持ち主の船に乗っている人の全員の人生が狂ってしまうということ。

私はお父さんの船に乗っていて、転覆した人間だ。

そして、自らも親友を転覆させかけた。

・・・・・・

ある日、私は自殺未遂をした。

ずっと、自分の命は自分の物だし、生かすなり殺すなり好きにすればいいと思ってた。
だって私の人生だもん。勝手にさせてよねって。

地元の友達に死のうとしたことを伝えた。その子は目の前で泣き始めた。いつも笑顔な友達が、卒業式だって泣いてなかった子が小さな声で「お願い死なないで…」って、そう言った。

その時、初めて、「私が死んだらこの子の人生狂わせちゃう。」そう思った。

海への航海は人生を表している。
船旅と人生は似ていると思った。

最初は1人用の小さなボートでも、仲間が増えていく度にその船は大きくなって気づいたら何人も船に乗ってる。でも船が大きくなれば大海原への航海もできるようになる。まるで海賊みたいに。

そうやって、色んな人に支えられながら人は生きてる。可能性が広がる。

何が言いたいかというと、自分の命の責任は自分だけが背負えるものでは無いということ。

辛い日々、何も出来ない日、動けない日、死にたくてたまらない夜。自分に腹がたって悔しくなる夜。
どうしようもなく悲しくて涙が止まらない夜。

何度も経験して何度も死のうとした。

でもその度に、「死なないで…」っといった親友の顔が浮かぶ。

私はもう自分の船に乗ってる人を転覆させない。
もっと色々な人を船に乗せて大海原に旅をしに出よう。

そう思えるようになった。

大切な人の命が消えかかってる時、自分の無力さを痛感する。

泣きながら必死にLINEでメッセージを送ってる。

それがその子に少しでも、ほんの少しでも助けになりますようにって。その度に無力さを痛感する。

だからさ、Mちゃん、私と一緒に大海原へ旅に出ない?こんなに沢山の荒波を乗り越えた私たちにしか見られない景色がそこには広がってるかもよ?

貴方のことが誰よりも好きで辛いものとチーズが好きな女の子より。

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