二度目の人生

三年前のこの時期に死に直面したことがある。

大学に向かう途中、バイクを運転していた。

いつものように同じ道を同じ速度で走行していた。

そしていつもの信号待ちが長いエリアに突入した。

私は、速度を落とさず車の左側をすり抜けて走行していた。

すると、次の瞬間身体が爆発したかのような衝撃を受け目の前が真っ暗になった。

工場に入る2tトラックに跳ねられていた。

そのまま15m先まで転がっていた。

すかさず立ち上がることができた私は、ここがどこなのか何が起こったのかさっぱり分からなかった。

頭から大量の血を流しながら呆然と立ちすくんでいたのだ。

そして数分後、救急車に乗せられていた。

私は、「テストがある」と連呼していたそうだ。

その日は大学で初めてのテストの日だった。

そして何時間もの間検査を受けた後、医者の人にこう言われた。

「あなた、運が良かったね。後遺症は残らないよ。」
「ただ、フルフェイスだったら首に全ての衝撃がかかっておそらく死んでたよ。」

と言われた。

その時に全身に鳥肌が立った。

十八年間生きてきて初めて死を覚悟した瞬間だった。

もともとバイクを買った際に、安全の為にフルフェイスを買った方がいいと親に勧められていた。

けれど、たまたま母親が年末のビンゴ大会で半キャップのヘルメットを景品として貰った為、それを付けていた。

一つのボタンが掛け違っていると私は死んでいた。

その日から、毎日のように事故の夢を見るようになり寝付けない日々が続いた。

三年経った今でも時々その夢を見ることがある。

皆は明日に死が訪れるなど考えたことがあるだろうか。

今日が最後の日になっても後悔がないのだろうか。

私は、あの事故以来生きていることが奇跡だと思えるようになった。

明日が最後の日になっても後悔がないと思える一日を過ごせるようになった。

誰かがくれたもう一つの人生だと思って生きている。

神様、二度目のチャンスをありがとう。

明日はきっといい日になる。

なぜなら自分でそう決めたから。

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