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三次予選で印象的だったところ

ピティナ特級公式レポーターの森山です。

三次予選の演奏が全て終了しました。協奏曲を演奏された参加者の皆様、伴奏者の皆様お疲れ様でした。

さて、今回の記事は三次予選を現地で聴いて印象に残ったことについて3つ取り上げて記述します。

チャイコフスキーの協奏曲冒頭

今日は、3人の参加者がチャイコフスキーの協奏曲第1楽章を演奏しました。恐らく冒頭どう弾いてもらって、どう入るのかについて、伴奏者の方々と入念に確認したのではないかと想像しますが、この入りが三者三様のものであったことはとても興味深い発見でした。

例えば、最初に弾いた後藤美優さんは、伴奏者の序奏が大迫力で始まり、ソリストが入る直前に若干減衰させてから、またソロが勢いよく入ってくるような構成になっていました。

次の森永冬香さんの場合は、ソロが入ってくると低音がずっしりとくるような演奏で、その前の伴奏者の序奏が若干抑えめだったことが効果的に働く構成になっていました。

最後の神宮司悠翔さんの演奏は、伴奏者がずっしりと響くような序奏を弾き始めたと思ったら、入ってきたソロは更に貫禄のある演奏で協奏曲が始まりました。

パッセージの表現

ピアノは、小さな音も大きな音も出せる楽器ですが、同じ小さな音でも聴いた印象が全く違うのだなということをしみじみと感じる三次予選でした。

ここで取り上げるのは、笠井萌さん、鶴原壮一郎さん、藤澤亜里紗さんの演奏したラヴェルの協奏曲と北村明日人さんの演奏したベートーヴェンの協奏曲第4番です。

ラヴェルとベートーヴェンの協奏曲では、どちらも音階のようなパッセージ(調性などは全く違うと思いますが)が何度か登場しました。
そして、ラヴェルの方は水だったり木の葉だったりの風景描写のような音なのに対して、ベートーヴェンでは、整然とした粒の揃った音の連なりがただ美しく流れるように表現されていました。

同じ楽器、似通ったパッセージでも、奏者と作品によってこれだけ変わる
というのがとても印象的でした。

むちの音

ラヴェルの協奏曲では、1楽章の冒頭と3楽章の中盤の2ヶ所で、譜めくりの方が手を叩いている部分があったと思いますが、あの箇所はオーケストラ版ではムチの音です。

伴奏者と参加者だけでなく、譜めくりの人も演奏に参加しているということが、とても実感出来て興味深い体験になりました。

一般的なオーケストラの編成ではなかなか無い楽器が他にもラヴェルの協奏曲には幾つか組み込まれているので、ファイナルで是非聴いてみたいです!

(写真提供:ピティナ)
ピティナ特級Webサイト https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/index.html

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