【サッカー育成の心理/物理学 Vol.3】準備運動の大切さとフィジカル向上
この連載ではサッカー経験がない親御さんが自身のお子さんのサッカーへのアドバイスの際のポイントを紹介していきます。
3回目の今回のテーマは「準備体操、アジリティ、持久力」です。
前回はフィロソフィーで今回は準備体操と言うことで、中々サッカーの技術の話に行かないのですが、この話題は重要だと思ったので、取り上げました。
■準備体操
以前、小学校低学年の子どもたちの練習を受け持っていましたが、体の柔軟性について気付いたことがあります。
それは環境(主に幼稚園や保育園、または体操のような習い事)によって体の硬さ/柔らかさが違うということ。
また、特にサッカースクールに顕著なのですが、準備体操の時間が短く、直ぐにボールを触る練習に移行します。
どうしてもスクールという限られた時間の中で、かつコーチの給料や場所代という時間がシビアな状況においては仕方ないと言えますし、親の期待値も準備体操にお金を払う訳ではないと捉えてしまいそうです。
どれだけの時間を準備体操やアップに費やしているか。急には体は動かないですし、怪我の原因となります。
ですので、理想としてはストレッチは家でやってからというのが望ましいです。親子で10分程度やると良いでしょう。
足首、アキレス腱、ふくらはぎ、ふともも、股関節、肩、首などを一通り伸ばすことが理想です。
これを練習前だけでなく毎朝、毎晩していれば、ある程度の柔軟性が得られると思います。
怪我(蹴られるなど外部からの打撃は仕方ない部分はありますが)をしないことが良い選手の第一歩です。
特に足首回りや膝周りは選手生命を左右しますので、可動域を広げる(と言っても少しずつ伸ばしておく、回しておく)ような準備をしてほしいと思います。
私は自分の方法を確立しているので、参考にしているYoutubeなどはないです。もしご存知の方がいましたら、是非コメントお願いします!
現役時代はブラジル体操的な動きを行い、軽く走りながら、体全体を動かすことも練習や試合前に行っていました。
今思えば、体全体を走りながら伸ばすという理に適った動きだったと言えますし、ブラジル体操はリズム感を養う要素に繋がります。
特に股関節の可動域を広げるトレーニングが多く、股関節の可動域は走るスピードに繋がるようです。
■アジリティ
最近、故オシムさんの記事を読みました。そのうち、オシムさん特集をしてみたいと思うほど、示唆に富んでいました。
2006~7年頃のインタビューを読んだのですが、あらゆる面で先を見据えていた方だと改めて感じました。
その中で、日本人の特性という点で、アジリティ(俊敏性)をあげていました。体のサイズが小さい分、初動の早さやキレは大きい欧米人を上回るという指摘です。
であれば、よりこのポイントを伸ばすアプローチが良いと感じました。ただの走りだけでなく、シャトルラン(行って帰ってを行う)やサイドステップ、クロスステップやジグザグなどマーカーを使った練習は1つの方法です。残念ながらこうした基礎体力の向上をサッカースクールでは取り組みません。
前提としては、それは家や他のサービスが代替すべきところで、サッカースクールのサービスのスコープではないと考えられています。
サッカークラブであれば、行うところもあるかと思います。その前提は「ある程度、長時間の練習」「指導者が昔やっていたから」となっている場合は注意が必要です。(と言っても、その場合、親御さんはフォローできないですが)
子どもの集中力を考慮すると練習時間の上限は90分(休憩を含めると120分)。短いように感じますが、適切な選手の人数やコーチの数であれば、集中できる十分な時間です。
ただ、どうしても週末だけしか活動できない、活動場所の制約や、試合が多く、練習に時間を割けないなど理由があるのは致し方ないところです。
親として子どもの集中力や怪我のリスク(夏場は熱中症)を心配するくらいしかできないのはもどかしいですね。
さて、アジリティでもし可能であればやってほしいこと(チームでやっていなければ)は、ラダートレーニングです。
ヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチである谷さんのタニラダーと言うのが参考になりました。
もともとJユース時代にラダートレーニングを私は体験しました。高校生からでしたので、これを小学生年代からやっていれば、きっとリズム感や俊敏性の向上に繋がったと感じます。
タニラダー、是非とも参考にしてみてください!特に同じ動きを折り返しで繰り返すというのは面白い方法です。
■持久力
最後に持久力です。最近「考えながら走る」「走りながら考える」という単語を聞かず、「止める・蹴る」が流行していると感じます。
Jリーグを5年間で4度優勝しているフロンターレは「スプリント回数(時速25㎞以上の走り)」「チーム走行距離」が相手チームより少ないケースが多いです。
走行距離の方向性が示されていないため、走らずに済んでいる(逆に走らせている)可能性はあります。
ただ、相手チームより走る(能動的に)ことは11人を+1人にする可能性に繋がります。
過去のジェフ(オシム監督時代)の映像を見て、改めて「考えながら走る」の意義を見つめ直しました。サッカーの本質である「相手チームより点を取る」「相手チームに点を取らせない」という大目的の達成のために、いかに走るかが重要だなと感じます。
「考えて走る」を実践するためには持久力が基礎になります。どうすれば心肺機能を高められるかは専門家ではないので、良い回答は持ち合わせていません。
普段から走る(野山を駆け回るのが理想ですが、現在の都市生活では難しいでしょう)のが良いでしょうし、水泳も良さそうです。
ただ、膝への負担もあるので、走り方などは気を付けた方が良いでしょうし、やり過ぎないよう気を付けるのも親ができるサポートの一つです。
華麗なプレーで魅了する遠藤(ヤット)選手、中村俊輔選手(最近は出場機会に恵まれていませんが)、モドリッチ選手なども毎試合10km以上を走って(動いて)います。
また、後日テクノロジーの活用でGPSの利用をお話する予定ですが、走りの質を向上させる上でカギを握っていそうです。
オシム式「考えて走る」かつ高い精度で「止める・蹴る(判断する/運ぶ/はがすも本当はあるのですが)」という風間式のハイブリッドが日本サッカーのあるべき姿であり強みになるのではないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。
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