君が困ったときに助けてあげることができる時期は、思ってる以上に短い。親としてできることは、やらせて欲しいんだ。
背中にずっしりとした重み。
ずり落ちそうになるのを、
よいしょと持ち上げる。
炎天下の中、少し駆け足気味に歩く。
いつぶりだろう。娘をおんぶして歩くのなんて。
※
映画を見た帰り道。慣れない人混みにもまれて軽い熱中症のようになってしまった娘。あんなに「映画楽しかった!」と興奮していたのが、噓のようにグッタリ。
「眠たい」
と、珍しく電車の中で眠る娘を、扇子でパタパタと扇ぐ。
「パパ、疲れるからいいよ」
子どものくせに、親に気を遣う。
そう言えば。
あれはまだ、ぼくが幼稚園か小学生だった頃。
夏休みに帰省した田舎には、まだエアコンがなかった。
蒸し暑い夜。
ぼくが眠るまで、ばあちゃんがずっと団扇で扇いでくれていた。
なかなか寝つけなかったぼくは、ばあちゃんが寝落ちしそうになったり、しばらく止まっていた手を思い出したように動かすのをじっと感じていた。
「ばあちゃん、疲れるからもういいよ」
あのとき。ぼくは娘と同じことをばあちゃんに言っていた。
でも、ばあちゃんは「大丈夫だよ」と手を止めなかった。うとうとしながら、ぼくが眠るまで扇ぎ続けてくれていた。
「大丈夫だよ。気にしないで寝てな」
あの時のばあちゃんと、たぶん同じ気持ちで、ぼくは娘を扇ぎ続けた。
なんとか歩いて電車を降りるも、歩くのが大変そう。
「よし。久しぶりにパパがおんぶしてやろう」
「えー、大丈夫?」
大丈夫。君がママのお腹にいることがわかってからずっと。
体力に自身がなかったぼくは、いつでも抱っこしてあげられるように、筋トレを続けてきたんだ。
妊娠中のママの荷物を「筋トレだから」と持ってあげていたのが懐かしい。
疑わしそうな娘が、それでも遠慮の欠片もなくぼくにのしかかって来た。
「おうッ」
ズッシリと重たい。さすがに幼稚園の頃とはだいぶ違う。成長したんだなぁ。
重たいと言っても、まだまだ子ども。
よいしょと持ち上げ、炎天下を歩く。
「パパ、ありがとね」
生意気にも、グッタリしてるくせに、労ってくる。
大丈夫。君が困ったときに助けてあげることができる時期は、思ってる以上に短い。親としてできることは、やらせて欲しいんだよ。
ショーウインドウに映ったぼくたちは。紛れもなく、父娘だった。それが、ちょっと嬉しくて誇らしかった。
※ 娘は家に帰って30分くらい休んだら完全復活し、ハンバーグをモリモリ食ってました笑
では、また明日。
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