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子どもの成長を待つ力

電車の中に、女の人の怒号が響いた。

「なんで、こんなこともできないの!?」

車窓からはのどかな田園風景。
ガタゴト揺れる穏やかな揺れを受けながら、気持ちよくウトウトしていたぼくは、大きな声に反射的に目を向けた。
怒鳴りつけられたのは、まだ3歳か4歳くらいの男の子。

人も少ない田舎の路線。車内にはぼくと、大声を出した女性。そして怒鳴られた男の子しかいなかった。

男の子の母親であろう女性は、イライラしながら続けた。

「ボタンくらい、ちゃんととめてよ!」

ごめんなさい、と泣きながら男の子は胸元のボタンをとめようとしている。少し離れた場所から見ても、子どもがひとりで手際よくとめるにはボタンは小さ過ぎるように感じた。

何度もとめようとするけど、上手く行かない。
モタモタする子どもの姿にイライラした母親は、絶え間なくプレッシャーをかけ続けていた。

どう見ても、男の子がボタンを自分でとめられるとは思えなかった。

子育ては難しい。
この親子に何があったのか、ぼくにはわからない。

この地域には、子どものボタン早止め競争があって、そこで優勝することが最高の栄誉なのかもしれない。

母親がとめたボタンを何度も何度も自分で外して遊んでいたのかもしれない。

ただ、虫の居所が悪かっただけかもしれない。

背景もわからないのに、そのシーンだけを切り取って母親が悪いと言うな。

なんて意見もあるかもしれない。

この投稿を見て、個人的にはその内容に共感したのだけど、リプ欄は燃えていた。

それで、以前見た電車での出来事を思い出したのだ。

他にも。
公園で、登り棒を上手に登れなくて父親に怒鳴りつけられてる男の子。
やはり公園で、子どもたちに怒鳴り散らして、周囲の視線を釘付けにしながら家族を置いてひとり帰ろうとする父親も見た。

背景は、わからない。
登り棒を登れないことで、その男の子は命の危険にさらされるのかもしれない。
公園中の熱い視線を独り占めしてでも、子どもを怒鳴らなくてはならない理由があったのかもしれない。

でもね。
怖いのは、背景を言い訳にそれが常態化されることだと思う。

外から見てると、怒りなれてるかどうかって、意外とわかる。躾という目的を持って強めに叱ってるのか。感情に振り回されて怒りをぶつけているのか。

「なんでできないの?」「どうしてできないの?」

その問は、本当に答えを求めてるのかな。
子どもがボタンをとめられない理由。そんなのがあるのだろうか?
「ぼくは、手が小さくて細かい作業がまだできないんです」って答えてほしいのかな。

そうじゃない。
「なんでできないの?」は、問じゃないのだ。

それは、罵倒なんだ。

「こんなことすらもできないなんて、なんて不器用でダメな子なんだろう。私にはできない理由が分かりませんから、ぜひ教えて下さい」

これが「なんでできないの?」の、本当の意味に近いと思う。

つまり、躾じゃない。
ただの、怒りの感情から湧き上がった罵倒だ。

親だって人間だから。
イライラもするし、子ども相手だってマジでムカつくこともある。

思わず怒鳴りつけてしまうこともあるかもしれない。

そのときに必要なのは罪悪感じゃない。
必要なのは「内省」だ。

子どもにどう言えば、言うことを聞いてくれるのか。それも大事かもしれないけど、怒りに持っていかれてしまった理由と向き合うことだ。

結局。変えられるのは相手じゃなくて、自分だけだから。

相手が子どもだろうと、なんだろうと。
人を変えるのは困難だ。自分の思い通りになんてならない。
ボタンはとめられないし、登り棒は登れない。切符はなくすし、忘れ物もなくならない。

「子どもができないままじゃ困る。この子のためにならない」と思うかもしれない。

けど、大抵のことは大丈夫だ。

ボタンはいつかとめられるようになるし、登り棒は登れなくても困るのはサーカスか消防士くらいだ。
切符はSuicaでいいし、毎回100%無くすわけじゃない。

子どもの成長を待てばいい。

なんだって、その子のペースがある。
他の子より早くなくても、上手じゃなくてもいいじゃないか。

子どもの成長より、親の成長の方がずっと大事な気がする。親も子どもも、自分の力で成長していくのだ。

親が成長すれば、子どもへの接し方にも余裕が持てるようになるかもしれない。
怒鳴らないでも、叱ることができるかもしれない。

感情に振り回されなくても、躾ができるかもしれない。

子どもの成長を待つ力は、親の成長なくして得ることはできない。

では、また明日。


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