見出し画像

「必死に必要とされる」という体験は、親にならないとすることのない経験だったかもしれない。

娘が熱でうなされて、もうろうとしながらすり寄ってくる。
「パパ、パパ!」と言いながら抱きついてくる。

この子にとって、いま、ゆいいつ頼れる存在はぼくしかいない。
寝言や、意識が白濁とした状態だからこそ、よりいっそう感じる。

背中をさすっても、ぎゅっと抱きしめても、娘の体調はよくならない。
眠ったかと思えば、咳き込んでまた起きる。
起きるたびに泣いて、苦しそうにうめく。

もう2時間近く、そんなことを繰り返していた。

寝たかな、と思って離れようとするとしがみついてくる。そっと膝からおそろうとすれば、また起きて泣き叫ぶ。一歩も身動きがとれなかった。さすがに足もしびれてきた。


ぼくはこれまでの人生でこんなにも必死に、だれかに必要とされたことはあっただろうか。少し動いただけで、呼び止められるようなことがあっただろうか。

この、「必死に必要とされる」という体験は、親にならないとすることのない経験だったかもしれない。

腰も痛い。足もしびれた。少し動くだけで泣き叫ばれる状況にも疲れた。
それでもぼくは、「この子を守らないと」と思っていた。

この子がぼくのことを必死に必要とするのは、あと数年のことだろう。
年を重ねていけば、ぼくや妻よりも友達や恋人を必要とするようになる。
それまでの、数年間。
文字通り「必死」に必要とされているうちは、ぼくも必死に、その思いに応えようと思う。


意識が朦朧とした中でも「パパ、パパ!」と彼女が呼び続けるかぎり、ぼくは彼女の背中をさすり続けようと思う。



***

今日も見に来てくれてありがとうございました。
娘の風邪もずいぶん良くなってきました。仕事のことや体調のことやいろんなことで大変だった時期も、少しずつ収束しつつあります。
慌てず騒がず、黙して動じず。
しんどい時期も、最小限のダメージで乗り越えられそう。
noteも来週で毎日更新1年。なんとか途切れずに続けられそう!
ぜひ、明日もまた見に来て下さい。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました! スキ・フォロー・シェアなどしてもらえたらとっても嬉しいです。 ぜひまた見に来てください!!