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子どもを伸ばす本物のフィードバックの技術〜HOWではなくWHATの重要性〜

フィードバックのHOWではなく、WHATを意識する

子どもに対してフィードバックをする機会は、親であれば数知れずある。
だけど、そのフィードバックは本当に子どもにとって価値のあるフィードバックになっているだろうか?

怒らないで伝える。
自分を主語にして話す(わたしは、君のそういう態度は嫌いだな。など)
失敗を責めるんじゃなく、認めてあげる。

親が子どもに対するフィードバックの手法、もしくはコミュニケーションの方法はたくさんある。しかし、そのどれもがHOW(どうやって)に関することばかりだ。

先日、HTHというアメリカの学校で行われているカリキュラムの研修に参加してきた。ぼくはそこで、フィードバックのHOWではなくWHAT(なにを)がいかに大切で、なにを伝えるかでフィードバックを受ける子どもがこんなにも変化を起こしていくのかと驚いた。

フィードバックによる変化

なにはともあれ、この画像を見て欲しい。

上の2枚の蝶の写真。
これはどちらも小学校1年生の同じ子ども(オースティンくん)が描いた絵です。最初に描いた子どもらしい蝶が、なんどもフィードバックを受け、改善を重ねることでリアルな蝶へと変貌をとげた。

彼は、大人から「こう描きなさい」「ここをこうしなさい」と言われて上手に描けるようになったわけではない。
驚くべきことに、オースティンくんに対するフィードバックは彼と同じ子どもたちが行ったというのだ。


フィードバックとはなにか?

日本人はフィードバックが苦手だ(たぶん)。少なくともぼくは人にフィードバックするのをあまり好まない。
なぜなら「ダメ出し」と言われるように、「相手のダメなところを指摘する」ことをフィードバックだと思ってしまうから。だからついつい「いいですね」とか適当な褒め言葉を並べてしまう。

たとえば、上記の絵であれば「いいね! 上手に描けてるよ! 可愛いチョウチョが描けたね。色も塗ってみるともっとよくなるかもね」

なんて言ってしまいそう。しかしこれは決していいフィードバックとは言えない。

フィードバックとは「相手が成長するための、具体的な改善点を伝えること」なのだ。

「いいね」「可愛いね」というのは温かいフィードバックではあるが、それを聞いたところで子どもはなにも成長しない。
「色塗るといいよ」はそれよりは少しは具体的だが、色を塗れる段階にまだないのは一目瞭然だ。

つまりぼくがしてしまいそうだなと思ったフィードバックは子どもの成長を何一つ促せていないということになる。


フィードバックは難しくない

フィードバックしなれていないと、なんだかそんなに的確なコメントなんて難しそうだと感じるかもしれない。

でも、上記の蝶の絵のフィードバックは子ども同士で行われ、それをうけたオースティンくんが自分で改善していった結果なのだ。
そう、的確なフィードバックは子どもでもできる。

もちろん、1回のフィードバックであれだけの変化を成し遂げたわけではない。

彼は6回も描き直している。その都度子ども同士でフィードバックをしあいながら。

「羽はもうちょっと長いほうがいいよ」
「三角がここについているんじゃない?」
「ここはもっととんがってるよ」

そんな簡単なフィードバックを積み重ねていった結果、オースティンくんの絵は写真を忠実に再現するようになっていった。

ひとつ、大人からのしかけがあるとしたら「科学者のような目で、よく観察すること」を子どもたちに示していたことだろう。それにより「上手に描く」という曖昧な視点ではなく、写真との差異に子どもたちも着目してコメントすることができた。


フィードバックのWHATを考えよう

「フィードバック=ダメ出し」というイメージはもう持たない方がいいかもしれない。ダメなところを指摘するのではなく、より改善するための具体的なアイディアを伝えることがフィードバックなのだ。

伝え方はもちろん大切。どんなにいいことを言っても、怒鳴り散らしたり相手の話も聞かずに伝えたりすれば伝わらない。

だけど、HOWだけでなくWHATを考えなければ子どもを伸ばすフィードバックにはならない。子どもが次にチャレンジをするときに「こうすればもっとできるようになるんだな」とわかることを、伝えていこう。


このオースティンくんの変化は「オースティンの蝶」と呼ばれ教育学者のロン・バーガーの動画としてYou Tubeに上がっている。


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今日も、見に来てくれてありがとうございました。
これを見てから、人にフィードバックするのもされるのも怖くなくなった気がします。
ぜひ、明日もまた見に来てください。


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