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青の数学と黄金比と小説描写

最も美しい数列 1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89 144...... をご存知でしょうか?

こんにちは。面白い数学小説との縁がありましたので、紹介させて頂きます。

『青の数学』王城 夕紀 著  新潮社 2016


先の数列、ご存知の方もいると思いますが、じつは黄金比が隠れています。


黄金比:長方形縦横の辺の比 1 : 1.618...(無理数)。名刺、クレジットカードの縦横比。

上述の数列:フィボナッチ数列

選んだ数字で、その一つ後ろの数字を割ると、1.618…の黄金比に近づいていきます。


私がなぜ黄金比を取り上げたかと言いますと、小説『青の数学』著者 王城夕紀氏の描写が素晴らしいからです。

学生時代、授業で図を用いた説明を聞いた覚えはありましたが、王城氏の小説中の描写の方が理解が早い気がします。(私の理解力の問題もありますが…)

アクセントとなる幼少期の師との回想シーン、その会話の流れに読者を巧みにのせ、読み終えた時は理解が進んでいる。著者 王城夕紀氏の巧みな描写に、素晴らしいと言わずにはいられません。


先の数列 1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89 144......に関しても良い表現だなと思う箇所があります。

「法則が分かるか?」
柊先生に問われて、三人の少年はそれを穴が開くほど覗き込む。しばらくして、大柄の東風谷が口を開く。
「間が、一つ前の数字」
「ほぼ正解だが、もっとシンプルな言い方がある」
「並ぶ二つの数字を足したものが、次の数字になる」
『青の数学』王城 夕紀 著  新潮社 2016 169P

太字部分の言い回し。数学的センス、総じて思考スピードが速いと思わせるセリフ。

お客様、あるいは上司、後輩と、日々のコミュニケーションの中で、平易かつ端的に話す。完璧には遠い。その改善に向けて、良い言葉だなと思います。

ほぼ正解。否定から入らず、相手を先ず肯定するのが絶妙です。

それでは!


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