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縦書きと横書き

Google Workspace for Education などで利用できる「Google ドキュメント」などのアプリで、「縦書きってできないの?」とのよく聞かれますが、そんなに縦書きにこだわる必要ってあるんでしょうか?

  • 注意 わたし自身、「国語」や「書写」「書道」などの教科が専門ではないので、これらの教科の狙いや背景について詳しいわけではありません。

この辺りを引き合いに出して、「Google ドキュメントは…」と機能比較しているケースもありますが、Microsoft が提供している Office 365 Education も Web ベースでの Office である「Office Online」では縦書きできません。縦書きができる Microsoft Office のアプリ版での話なので、同じ土俵で比較していないと思うのです…
以降では、わたし個人の思いを書き連ねます。

縦書きと横書きの使い分け

Wikipedia をよりどころにするのは適切ではないのかもしれませんが、「縦書きと横書き」という、そのまんまのタイトルのページがありました。

上記のページの中から、「縦書きと横書きの使い分け」という部分からいくつかの文章を抜き出してみました。

現代日本においては、縦書きも横書きもともに用いられる。
縦書き(縦組み)は、書道作品のほとんど、国語の教科書、文芸(小説、詩歌、戯曲など)、新聞などで用いられる。漫画もその戦前からの伝統を踏襲しており、コマ運びは右横進行、吹出しの台詞は縦書きが標準であるが、左開きに製本された場合、コマ運びだけは、右横進行のことも左横進行のこともある。

縦書きと横書きの使い分け - 縦書きと横書き - Wikipedia

横書き(横組み)は、例えば、外国語、数学、科学、音楽になどに関する専門書、つまり、横書きの言語、数式、楽譜を含むような文書のほとんどで使われる。コンピュータの出力もほとんど横書きである。

縦書きと横書きの使い分け - 縦書きと横書き - Wikipedia

学校教育の教科書では、国語に属する分野以外はほぼ横書きが用いられる。社会科が縦書きだった時期も1980年代まであったが、その後は横書きになった。

縦書きと横書きの使い分け - 縦書きと横書き - Wikipedia

上記はページの一部分ではありますが、この部分を要約すると

  • 現代の日本においては、縦書きと横書きが混在している。

  • 内容によって、縦書き/横書きが決まっているケースが多い。

  • 学校教育の教科書は、国語に属する分野以外はほぼ横書き。

という感じ。

環境か? こだわりか?

小説やライトノベルなど、文芸作品の多くが縦書きだが、ケータイ小説は横書きが多いようだ。この辺りは、冒頭の「Google ドキュメント」で縦書きができないのと同じように、携帯電話という環境(プラットフォーム)で縦書きでの表示が難しかったからだろう。

文芸作品は縦書きばかりかと思いきや、ガチ文学という感じの芥川賞を受賞した作品の中にも「abさんご」という横書きの作品がある。「文学作品だから縦書き」というわけではなく、作成者のこだわりや考えで縦書きが横書きかを選んでいる部分もあるのだろう。

小学校の学習指導要領解説では?

気になったので、文部科学省のホームページで「小学校学習指導要領解説」から、「【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」と見てみました。

この解説の PDF 中で「縦」という文字で検索したところ、

点画とは,文字を構成する「横画,縦画,左払い,右払い,折れ,曲がり,そり,点」などのことである。

https://www.mext.go.jp/content/20210601-mxt_kyoiku01-100002607_002.pdf  - p.59

筆順とは,文字を書き進める際の合理的な順序が習慣化したもののことであ
る。学校教育で指導する筆順は,「上から下へ」,「左から右へ」,「横から縦へ」といった原則として一般に通用している常識的なものである。

https://www.mext.go.jp/content/20210601-mxt_kyoiku01-100002607_002.pdf  - p.59

といった文字を書く際の筆運びについての説明で出てくるだけで、文章の「縦書き」という説明については見つけられなかった。
学習指導要領解説でこのような扱いなのに、どうして縦書きにこだわるんだろう?

とめ、はね、はらい

小学校の国語の授業で、とめ、はね、はらい、を指導されたのを覚えていませんか? いい年齢になっても、自筆で各文字が丸ゴシックっぽい書体になってしまう わたし は、クラスメイトよりも多く指導されたように覚えています。(笑)

書道・習字のイラスト「書き初め・男の子」

そんなに丁寧に指導された内容ですが、ワープロソフトでゴシック体フォントを指定すると、とめ、はね、はらい、を意識していない書体で表記されてしまうのです。
そう、選択したフォント(書体)によっては無視されてしまいますが、ゴシック体などのフォントを指定することについて、「とめ、はね、はらい、がない!」という指摘をする人を見かけたことがありません。

大切なことは?

小学校の授業で、日本古来の文化として、文章を縦書きで表記することを知ること/理解することは、大切なことだと思います。
また、書道や書写を含めて、日本語の表記として、とめ、はね、はらい、を身につけることも大切なことだと思います。
けれども、すべての文章を縦書きで表記しなければならないわけでもありませんし、すべての文字をとめ、はね、はらい、を意識した書体で表記しなければならないわけでもありません。大切なのは表現されている中身なんじゃないか、と思います。

わたしは、「縦書きか横書きか?」というのはフォントや色を選ぶのと同じように、どのように表現するかの選択肢の一つなんじゃないかと思っています。そういったいくつもの選択肢を選び、意図した中身を伝えられることが大切なんじゃないでしょうか? こだわるべきところはどこなのでしょうか?

学校においても「国語だから縦書き」ではなく、その学習活動の目的を達成できるのであれば、縦書きにこだわらずに横書きでもいいんじゃないかと思います。

俳句を詠んでいる男性のイラスト

確かに、俳句を横書きにすると違和感を感じてしまうかもしれません。そうであれば、最終的なの成果物を短冊などに筆で書いたらいいと思うのです。俳句の中身を検討している時まで、縦書きでなければならないことはないと思います。 ※逆に、横書きでなければならないわけでもないとも思います。
また、一般的な俳句は縦書きであることが多いことは知識として伝えなければならないと思いますが、できあがった俳句によっては、短冊に横書きにした方がいものもあるかもしれません。
「〇〇って、△△だよね」といった固定観念に縛られすぎてもいけないんじゃないか、とも思います。

最後に、冒頭にも書きましたが、わたし自身は国語や日本文化に対する専門家ではありません。この記事の内容は、わたし個人の思い/考えです。


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