見出し画像

日本人が海外で働くという事 (1)

20歳になるまで飛行機にも乗った事がなく、始めて海外に行ったのも成人してからという私が、なぜか4回もの海外在住を経験する事になりました。その経験を基に、海外で働くという事の意味を私なりの意見として書いてみたいと思います。

基本的に単一民族であり、ほぼ100%の人が日本語を読み書きする事ができて、非常に安全で豊かな国である(であった?)環境において、日本人が日本から好んで外に出るという発想は、ここ10~20年ぐらいまではかなり少なかったように思います。例えば、芸術家としてすごく海外に興味がある、日本の文化・生活が嫌い、日系企業で駐在員や企業派遣の留学生として行く、または海外の方と結婚するというような事がない限り、海外で海外の企業に現地社員として勤務するという、私のようなケースはかなり限定的だったと思います。(今でもまだ多くはないですが、徐々に増えて来ていると感じます)

私が始めて海外に在住したのは2002年、当時27歳の時にアメリカの大学院に私費留学したのですが、動機としてはバブルがはじけて日本自体の元気がなくなって来ていた時に、情報テクノロジーを背景に大きく世界経済の盟主の地位を取り戻しつつあったアメリカに憧れてというものでした。(勿論、当時まだ根強く残っていた、日本のくだらない年功序列の仕組みに比べて、自由で夢に溢れているというアメリカンドリームを本気で信じていたという、ミーハーな動機もありました。)

始めて海外に在住したのはアメリカ合衆国アリゾナ州

そこから20年少し経ち、私も今回が3度目の海外勤務となっている訳ですが、日本企業の駐在員としてではなく、マイクロソフト及びグーグルというアメリカ企業の現地採用社員として私が経験した中で感じた事を纏めてみます。(日系企業で駐在員として海外赴任されるケースは想定していません。)

  1. 先進国であれば、基本的に日本で勤務するよりも海外で勤務する方が、給与を含めた金銭的なメリットは非常に大きい。

  2. 仕事の効率は総じて高く、不要な残業はしない。一方で、必要な仕事があれば遅くまで仕事をする事も普通にある。どれだけ働いたかではなく、どれだけ結果を出したか、という事が評価の基準。

  3. 人事権は基本的に直属の上司が持ち、評価も直属の上司が行う。人事部は存在するが、人事権や評価に関する権限はほぼ皆無。一方で、上司に対する部下からの評価も重要視され、基本的に部下からの評価が悪いマネージャーは当人の評価も下がり、最悪の場合はマネージャー降格になる。

  4. コミュニケーション能力が非常に重要。英語を話せるかどうかというだけでなく(英語は勿論話せないと仕事自体が出来ないが、完ぺきなNativeレベルである必要はない)、論理立てた説明で社内外の関係者を説得して仕事を推進する能力が必須。

  5. 多様な文化を理解してそれに適応する能力が非常に重要。押しが強い文化・性格もあれば(日本人の常識からするとそう思う人の方が大多数)、中々本心を打ち明けてくれない文化・性格も存在する。そういった環境の中で、相手をリスペクトしながら言うべきことははっきり言うという対応が必要。

  6. 人種差別、性別により差別、社内政治などは表面的にはクリーンなように見せているが、部署や部署のリーダーの性格によって、日本企業よりもダークな場合もある。勿論本当にクリーンな場合もある。要は、部署ごとのリーダーの資質によって、労働環境・評価基準が大きく左右される。

正直、日本で働くのに比べて、海外で働くことは結構大変です。外資系であっても、外資系の日本法人で働くのと、海外で働くのは大きく異なります。
一方で、今後のキャリアや収入を考えた時に、高齢化、人口減少が進み、衰退が予想される日本市場に100%依存する事は、中長期的な視点で見るとかなりリスクが高い事だと思われます。

次の回からは、上記の6つのポイントについてもう少し詳しく書いてみたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?