見出し画像

素問 瘧論篇 第三十五(1)

古代中国にもマラリアがあったのか流行り病についての研究がここに記されています。マラリアは「おこり」と言って平安時代にもその記述があるとか。現代の流行り病コロナに活用できることがあるかしら。

黄帝曰く、「瘧はみな風より生ず。その発作と休止を繰り返すのはなぜか。」岐伯曰く、「瘧が初めて発症するときは、まず体毛が立ち、手足を伸ばしたりあくびが出るようになり、寒さのため戦慄して顎がガクガク。腰背部がともに痛くなります。寒気が去ると発熱し、頭が割れるように痛み、口が渇いて冷たいものが飲みたくなります。

瘧(ぎゃく)は今でいうマラリア、感染症のこと。現代の病理学でいうと赤血球が壊れたときに発熱するんだって。3日熱マラリアはそれが72時間毎、4日熱マラリアはそれが96時間毎に起こる。古代中国の人はどう分析していたのかな?

帝曰く、「どのような邪気がこのような症状を起こさせるのか。その理由を聞かせていだたきたい。」
岐伯曰く、「陰陽が上下に交じり争い、虚実が起こり、陰陽が相互に入れ替わるからです。陽が陰に侵入すれば、陰は実し陽は虚します。陽明経が虚すれば寒さで震え顎がガクガク震え、太陽経が虚すれば腰背部頭頸部が痛みます。三陽すべて虚すれば陰気が勝ち、骨まで冷えて痛み、内外冷えます。
陽気が旺盛になれば外に熱が出て、陰虚となれば内に熱がこもります。内外熱が起これば呼吸が乱れ喉が渇き、冷たいものが飲みたくなります。」

瘧の症状の記述があります。確かにインフルエンザにかかる直前って、関節の節々が痛くなったり、寒さや肩こりを感じたりします。これがいわゆる冷えの症状。その後に高熱が出てとうとう横になります。冷たい飲み物がほしくなるのはいつの時代も同じです。

「これらはいずれも夏に暑邪に傷られ、熱気が皮膚の内、胃腸の外に留まるためです。これらは営気のある所です。発汗して腠理が開いたところに秋の涼しさにあえば、汗が出たところに風邪が入ります。入浴して水気が残ると、水気は皮膚の内に留まります。これらは衛気のある所です。衛気は昼陽を巡り、夜陰を巡ります。邪気も陽を得て外に出、陰を得て内に入るため、お互いがぶつかり合い、発作が起こるのです。」

ここで語られている瘧の病理は、前の季節を引きずった病。夏に熱が入り皮膚は発汗で緩む。そんなときに秋冷たい空気が入ってくると寒が侵入し病が起こる。その逆も然りで、冬の冷えが残っているときに春の温かい空気がやってきた場合、皮膚はがっちり固まっているので、発散できず熱が内にこもる。熱は頭部に上がってきて冷えと熱が混在するため、冷えの鼻水症状、目の周りには熱の発赤や痒みの症状が出てきます。

前の季節の寒熱を春や秋に引きずることによって、いつもなら平気でやっつけられる病原体も、負けてしまい発病するよというお話でした。

また、お風呂の話も出てました。風邪のときはお風呂に入っちゃだめよって言われませんでしたか?最近ではカラダを温めるために入った方がいいという方もいますよね。私の鍼灸師の先生も毎日お風呂に入ってはいけないよとよく言っていましたが、今の時代それをただ鵜呑みにすることはできません。

ここにヒントがありました。入浴後、お風呂で温まったカラダは腠理が開いて皮膚から熱を外に出そうとしています。そんなときには冷たい空気も入りやすい状態になっている。だからよくカラダの水気を取り、返って冷えないよう気を付けないといけません。いわゆる、湯冷めで風邪ひかないようにということです。

なるほどー納得。これでまた一つ古代の知恵を現代に活かすことができましたよ。でもまあ当たり前のことです。大事なことって当たり前なことですから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?