マイ・ブロークン・マリコの話

※ネタバレはありません。1話のあらすじのみさらっと書きますが。

さて、今一番人気のあるマンガはなんでしょう。そう、鬼滅の刃ですね。

違います。今日はSNSで話題沸騰中の作品「マイ・ブロークン・マリコ」の話をしようと思います。

物語は主人公(シイノ)の友人、マリコが自死するところから始まります。主人公はマリコと幼馴染であり唯一の親友がマリコでした。マリコは家庭環境に多大な問題を抱えており(あまりにも凄惨なので割愛します)、自死を選んだマリコへのせめてもの償いと衝動でシイノはマリコの骨壺を実家から奪い出します。そして、シイノとマリコ(の骨壺)の最初で最後の旅が始まります。以上が1話の内容です。

さて、この作品のどこが凄いのか。

1. マリコの死から物語が始まる。

人は往々にして失ってから初めて大切なものに気付きます。というような陳腐な言葉では言い表せません。何故タイトルはブロークンマリコなのか、ネタバレを回避したいので書きませんが、死という断絶より前にシイノとマリコの間には深い魂の結びつきがありました。しかしながら、マリコの自死によってそれは不可逆的に決定的なものになってしまいます。そこからのシイノの行動は筆舌に尽くしがたい身につまされるものがあります。これほど精緻に感情の機微を描くことが出来るのかと脳味噌をぶん殴られるような衝撃を受けました。

2. 逃避行とマリコとの過去の錯綜

マリコの骨壺を抱えたままシイノは逃避行を続けます。その間、マリコとの過去の思い出が錯綜するように度々挿入されます。その塩梅とシイノの感情の動きの描写がとにかく素晴らしい。これは読まないと分からない思います。

3. ラスト

何も書きません。とにかく読んで下さい。


以上。この年齢になるともう会えない人やいつの間にか遠い場所に行ってしまった人が増えていきますよね。そんな中である種新しい新境地を切り開いたのがこの「マイ・ブロークン・マリコ」です。

「死は生の対極ではなくその一部として存在する」という言葉を思い出しました。

新しいマンガが読みたい人。是非ご一読を。



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