タンザニアがアフリカの中で特に平和なワケ
マンボ!
タンザニア在住ライターのほりともです(@tmk_255)です。
タンザニアに来る前に抱いていた「アフリカは危ない」というイメージは、ここでの生活を始めてから大きく覆されています。といっても、日本と比べたら、比較するまでもなく日本のほうがダントツ安全ですし、アフリカは、タンザニアしか住んだことがないので、他のアフリカの国と比べることもできません。
それでも、アフリカの複数国に在住経験のある友達も「タンザニアはアフリカの中でも本当に安全!」と口々に言います。彼らによれば、経済大国であるケニアや南アフリカなど含めたアフリカの国々の中でも、タンザニアの治安の良さは群を抜いているんだとか。
うーん、どうしてだろう?経済的、社会的な観点からも分析できるかと思いますが、今回は、実際に住んでみたアフリカ素人の私が考える「タンザニアが平和な理由」について考えてみました。
①120の部族
タンザニアには各地域に住み共通の言語を話す部族が120ちょっといます。
日本では聞きなれないこの「部族」という言葉。私は、ニュースで聞くアフリカの内戦は、だいたい部族間の対立が原因と思い、ちょっと怖いイメージを持っていました。
でもタンザニアの「部族」はちょっと違うんです。タンザニア人の友達と話していると、この部族は、日本の県民性に近いなと思います。
「うちの部族は、頭が良いことで有名」「この部族は、ケチ。お金のことになると、誰よりも主張が激しい」「あなたの部族は、浮気者が多いのよね」「うちのだんなは●●族だから、計算が早いよ」「うちの娘は●●族の旦那と結婚したから、まじめに働いてくれて安心だわ」
こんな感じで、それぞれの部族のステレオタイプがあるそうで、それをからかったり、または部族の出身として誇りにしていたりと、反応が面白いんです。「部族」の深刻さが、他の国と比べて違うと、タンザニア人の友達自身もみんな言います。
特に、その国に2~3と少数の部族しかないと、対立に発展しやすいけれど、タンザニアのように100以上もあると、もうそれは、その人の個性として反映されるだけだということのようです。
これが一番わかりやすく、タンザニアで紛争が起こらない大きな理由ではないかと思います。
②人のつながり
最近、タンザニアの村に住んでいた日本人に話を聞く機会がありましたが、彼が言っていたことが印象的です。
「タンザニアでは、仲間と食事をする時間がとても大切。家族はもちろんだけれど、血がつながっていない仲間も家族としてつながっていた」
この言葉を聞いて思い出したのは、私がタンザニアにきた直後に聞いて驚いた文化。「タンザニアの人はあいさつに15分かける」
私が住むダルエスサラームの都会では、そういう風習は減ってきているようですが、村に行くと、あいさつが大切で、15分かけてあいさつする人もいるそうです。
とはいっても、町でもこんなことがありました。私が急いで空港に行かなくてはいけなかったある朝。運転手さんに、すっごく急いでいるからよろしくね!と伝えたけれど、空港について入口の警備のおじさんとこんな会話が。
「おはよう。元気?」
「元気だよ。ご家族は元気?」
「うん。子どもがマラリアにかかってしまったけど、なんとか完治したよ」
「それは大変だったね。」
「あなたのご家族はみんな元気?」
こんな会話が始まるのです。後部座席に座って到着はまだかまだかとあせっていたいた私は、ずっこけそうになりました。「あの~、急いでるんですけれど…」この時はこののんびりと悠長に繰り広げられるやりとりにイライラしましたが、タンザニアの「あいさつが大切」をそのまま感じさせるエピソードです。ちなみに、この二人は知り合いではないそうです。
家族でない人も仲間として相手を尊重して思いやるというタンザニアのあいさつは、タンザニアでの「人とのつながり」があったかいなと感じさせるわかりやすい例です。子どもを見る目も本当にあったかい。子どもを大人がみんなで見守るというのが根付いています。4歳の息子と出かけると、あちこちで親戚のおじさんかおばさんかと思うような気づかいや配慮の言葉をかけてもらいます。
どうして、人とのつながりを大切にするの?と聞いたら、タンザニア人の友達のひとりは、こんなリアルな回答をしてくれました。
「タンザニアは貧しい国。だから、何か問題があった時に、周りの人に助けてもらわないと生き残れない。一人では生きていけない。普段から、家族だけでなく、友達や近所の人との関係を良好に維持していくのは、生きていくために必須なこと」
③海に面している
タンザニアはアフリカの東側に位置しており、インド洋にも面しています。国が海に面しているというのは、経済の観点以外でも、その国に多くのメリットがあるのではないかと思います。
例えば、タンザニアの港近くには「カリアコ」と呼ばれる大きな市場があります。タンザニアの友達によれば、ここは、タンザニア国内のみならず、アフリカ中からアフリカ人の業者が食べものや商品を仕入れに来るそうです。タンザニアに輸入されたものは、ここで買うのが一番安いためです。この市場は、かなり活気があり、タンザニアが海がすぐそこにあることの恩恵を受けていることを感じます。
海の近くに住んでみて、海が近いことへの精神的な影響は大きいなと感じます。私の家からも歩いて10分もすれば、ビーチに着きます。毎朝、地元の人たちが、海沿いをランニングしたり、ヨガをしていたり、ビーチバレーをしていたり、海でプカプカ浮かんで遊んでいたり、ココナッツ売りのお兄ちゃんがジョギング中の人とおしゃべりしていたり、平和な朝のシーンが広がっています。
まとめ
経済の専門家でも何でもない私が、住んでみて感じた「タンザニアが平和なワケ」を考察してみました。
冒頭でも言いましたが、日本のように、電車で寝ていても大丈夫、落とした財布が戻ってくるとか、そういうことはもちろんタンザニアではありません。外出する時は気を引き締めて、スリやひったくりにあわないように気をつけています。
それでも、私が抱いていた「アフリカ=危険」という単純なイメージは、実際に暮らしていくなかで減っていきました。それが、タンザニアに住んでいたけれど任期を終え母国に帰る外国人の多くが、もっと長くここにいたいと切望する理由の一つだと思います。
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