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雨がふったら子供が帰れなくなった事件

マンボ!

タンザニア在住ライターのほりとも(@tmk_255)です。

タンザニアの4月は雨期で、毎日のように雨が降ります。

日本人の感覚だと「ただの雨」なのだけれど、インフラが整っていないタンザニアでは、ただの雨が、市民の生活に大きな影響を与えるんです。

だから雨が降ると、公共バスが止まり、タクシーの料金も倍になり、家が水浸しになってしまう家もあります。ちょっとの雨でも油断できず、町は大混乱。

そして、この雨で子供が家に帰ってこないという事態が起きました。

日本ではなかなか起きない「雨で子供が帰ってこれなかった」事件。これを読んだら、あなたも日本では当たり前の日常へのありがたみに気づくでしょう!


まだスクールバスに…

そのメッセージは、子供がすでに日本語補習校にいると思っていた夕方4時過ぎに届きました。「大雨で洪水、だから娘さんはまだスクールバスの中です。補習校に行かずに、そのまま自宅に連れていきましょうか?」

私の子供は、2時まで現地校で学んだ後に、スクールバスで移動し、30分ほど離れた日本語補習校に通っています。だから、3時には日本語学校にいるはずなのです。「え!まだバスの中にいるって?」とても驚きました。

その日は、午後から雨が降りはじめました。スクールバスの担当者から「大雨で道路が洪水。そのためバスのドライバーたちが、できるだけ安全な道を探しています。だから、スクールバスの到着も大幅に遅れます」というメッセージとともに、こんな画像が送られてきました。

『バスに閉じ込められた人』グループができる

タンザニアでは「Whatsapp(以下、ワッツアップ)」という、日本のLINEのようなチャットアプリがよく使われています。学校の保護者会、テニス同好会、ランニンググループなど、なんでもまずはワッツアップでグループが作られ、やりとりが行われてとても便利。

さて、補習校も終わって、子供が家に帰宅しているはずの夕方5時になっても娘は帰ってきません。その頃に、スマホで新しいグループの通知が届きました。ワッツアップで新しくできたグループの名前は「stuck bus(バスに閉じ込められた子供たち」です。

まだバスの中にいて、帰宅ができていない20人弱の子供の親たちのグループができ、これからどうすべきか、バスは今どこにいるのか、バスの中にいる担当者との活発なやりとりが繰り広げられます。私もハラハラしながら、このやりとりを凝視。

「子供たちはみんな元気です。大丈夫!」「トイレに行きたいと困っている子供もいない」「誰か別の車が助けにいけないのか!?」「俺がバイクで救出に行こうか!?」

混乱した親たちのやりとりには、大雨で子供が閉じ込められるということに慣れていない私たち外国人の親の焦りが見られます。日本にいるあなたにも雨が降っただけで、どうして車に閉じ込められるのか?ちょっと想像できないかもしれません。

バスに乗っていた担当者によれば、その理由は、道が洪水状態で路上の一部の車が溝や穴にはまり動かないこと、そのため後方の車が全て止まり、さらに、交通規制をするはずの警察官たちが、洪水状態で姿を消し、道路はさらに大混乱、そういう状態なのだそう。


6時半頃になって大ニュースが。「やっとバスが動き始めたぞ!」
そこでお祝いの絵文字がグループのメッセージ欄を埋め尽くします。「おめでとう!」「やった!」「帰宅まであと少し!」

そしてやっと最初の子供が帰宅したようです。「2人が今、家に到着した!」「バスの中の他の子供たちはみんな元気だったよ!」「うちでトイレ使う人いるか聞いたけどみんな大丈夫だったから安心して!」

これを見て、私も一安心。それから30分ほどして、うちの娘も家に無事到着しました。学校を出発して普段は20分の距離を、4時間かけて家につきました。娘は心配する親とは対照的でいたって普通。「ただいま~。遅れてごめんね。おなかすいた!」

チョコレートケーキでお礼

スクールバスが自宅に到着した時、私と夫はもう感謝の気持ちでいっぱい。「無事に連れてきてくれてありがとう!」という私たちに「いえいえ。こんな時間がかかってしまい、お子さんのことを心配させて申し訳ありません」とこれまた丁寧な対応に感謝。

きっと、タンザニア人のドライバーさんと担当者の人たちは、大雨の交通渋滞には慣れていて、このくらいで外国人の親たちはおおげさだよなーなんて思っていたかもしれません。

この即席で作られたワッツアップのグループの最後のメッセージはこんな風にしめくくられていました。

「今チョコレートケーキを焼いているわ。明日、保護者を代表してスクールバスのドライバーたちに届けるためにね」

ドキドキした大雨事件でしたが、バスのドライバーさんへの感謝、そして、雨が降っただけでは子供がバスに閉じ込められることはない日本の優れた道路インフラに改めて感謝した日でした。

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