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副業があたりまえのタンザニアの働き方

マンボ!

タンザニア在住ライターのほりともです(@tmk_255)です。

タンザニアにきて「働くとは」について考えることが増えました。まず、私自身が会社員をやめて、フリーランスという立場になったことがあります。会社に所属していないと、なんだか自分の社会における存在価値が低くなったような気がして、あせる時期もありました。

そんな私の考えや働くことの概念を大きく変えたのは、タンザニアの人たちの働き方です。

タンザニアで会社員は10~15%ほどしかいません。残りは、自営業や商店の経営、日雇いの仕事などをしています。「わたしは会社員です」という人にはめったに会いません。そんなタンザニアでは、副業があたりまえ。会社員をしている人も、です。

タンザニアの会社員について、「ビズリーチ」様に執筆した記事はこちら。

日本でも副業をする人が増えてきたと聞きます。今回は、『副業の先進国』ともいえるタンザニアの人たちが、どうして副業をするのかご紹介します。彼らのストーリーからは、私たち日本人にとってもこれからの働き方のヒントになるものが見えてくる、そんな気がします。


①そもそも給与が足りない

タンザニアの給与は日本と比べてとても低いのです。大卒でも月2~3万円が一般的です。そもそもの物価が違うので、ということを考えても、安いです。だから、1つの仕事じゃ生活が成り立たない、という根本的な理由があります。子どもがいれば、さらにお金はかかります。

さらに、会社員だとしても、安定からは程遠いと言います。なぜなら、中小企業が多く、いつ倒産してもおかしくないからです。会社に所属していれば定年までまあ大丈夫だろう、そういう状況ではないのです。

屋台でとうもろこしや・ココナッツを売る若者たち

そのため、多くのタンザニア人には「リスク分散」という意識が強く根付いている印象を受けます。自分の身は自分で守る、多くの選択肢を常に持っておく、そういう意識で働いています。


②稼ぐものが助ける

「自分で仕事をして生きていく」とても力強いのだなーと思う一方で、「仕事があるものが、ないものを助ける」という社会主義的な意識も強いようです。

例えば知り合いの30代前半の水泳の先生は、5人兄妹の一番下。奥さんと2歳になる息子さんがいるパパですが、兄弟の仲で彼しか定職についていないので、給与は自分の家族だけでなく、自分の兄弟やその家族たちとも分けるそうです。えええ!そんなことしてたら、給料がいくらあっても足りない!と驚く私に、彼はこう言います。

「自分が仕事がなくなったら、同じように親戚に助けてもらわないといけない。だから、仕事があるうちは、親戚も助けるんだ」

親戚に大卒者や会社員がいると、「もう、安心ね」なんていう雰囲気が親戚の中にできるそうです。稼げるものが、失業者を助ける、そういう責任があるそうです。

タンザニアでは、毎年90万人の新しい労働者が市場に出ますが、5万人の雇用しかないというデータもあります。町を歩けば、暇そうにしている若者の姿をあちこちで見かけるのも、この数字を聞けば、しかたないのかなと思います。

デリバリーの仕事をする人達

③マイホームの夢

タンザニアの人たちの人生における夢のひとつに「マイホームを持つ」ということがあります。これは日本人にも共感できるゴールかもしれません。

一つ違うのは、日本のようにローンを組むということが一般的ではないということ。なぜなら、多くのタンザニア人は銀行に貯金を持つほどの資金もなく、そもそも銀行に口座を持っている人も少ないから。

通常は、お金がたまったら、建設業者に払い、家の基盤を作ってもらい、さらに現金が用意できたら、そのタイミングでまた業者に払い、家の枠組みを作ってもらう。そういう流れで、数年にわたって少しずつ現金が用意できるペースで家を作っていくそうです。(だから、建設途中の家があちこちで見られるのですね…)

マイホームを作るためには、やっぱり1つの仕事・給与だけでは、永久に家は建ちません。これが副業をする理由の3つ目にあたります。

まとめ

私が大学生時代は、学校の授業がない時間はほとんどをアルバイトにあてて、旅行や留学のための資金を稼ぐことにやっきになっていました。タンザニアの人たちの働き方を見ると、当時の私の「余っている時間は労働してできるだけ稼ぐ!」というスタイルを思い出します。

その一方で、「会社に依存せずに自分で生きていく」というタンザニアの人たちから学べることも多いように思います。

タンザニアでは、経済成長とともに会社員の数も増えると予測されています。その時に、この副業マインドがどのように変化していくのか、日本で一般的になってきた「仕事だけで人生をおわらせない」「プライベートの時間を大切に」という考え方が普及してくるのかなど、どういった変化があるのでしょうか。


#海外生活

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