【保護犬との生活】「寄り添い力」を鍛える
まだ3週間だ。
「彼女」は心を開いていない。
近寄ってくるが、こっちから近寄ると離れていく。
ボクと遊びたいんだろうけど、遊び方がわからない。
逆にボクが近寄っていくと離れていく。
ちょっとどうしていいかわからない。
あれ、これどっかで経験したな。
あ、フリースクールでスタッフとして活動し始めた頃に経験したかも。
何を話しかけても下を向いてうなずくばかりの子がいた。
当時、どうしていいかわからず困った記憶がある。
何を求めていたんだろうか。
そのフリースクールという「居場所」に来たからには何かを求めてきたはずだ。
おそらく寄り添っていてさえすればよかったんだと思う。
ただ、当時はフリースクールスタッフ初心者として、何をしていいかわからず戸惑った。
同様のことが、今、引き取った保護犬との間で起きている。
めちゃくちゃボクに近寄ってくる。ケージから出せ出せうるさい。
ケージから出したら出したで、ボクの近くに寄ってくるだけだ。
おもちゃで遊ぼうとしても見向きもしない。
こっちから近寄ると逃げる。
向こうからは近寄ってくる。
これは修行だ。
「寄り添い」の修行だ。
よし、がっつり寄り添ってやる。
「彼女」に何か試されている気がする。
「人生で役立つことは全て犬が教えてくれた」とは言わないが、コミュニケーションにおいては今後いろいろと教えてくれそうだ。
数年前、フランスに旅行に行ったとき、英語が通じなかった。というか、フランス人は英語を話さない。意図的に。もちろん私もフランス語を知らない。だから、コミュニケーションに苦労した。
でも逆に、言語でのコミュニケーションができないことで、より旅行の面白みが増した。.
「言葉が通じないってこんなに旅を楽しくするんだ」と初めて感じた。
いつも英語が通じる国に旅行してたので何も感じなかった。
この面白さに気がつかなかった。
翌年、スペインを旅行した。
ここでも英語が通じない。だから、簡単なスペイン語を覚えて何とか乗り切った。
やはり面白かった。言葉の通じない面白さを感じた。
旅行ぐらいであれば言葉は通じない方が逆に面白いかもしれない。
話は戻るが、人は時に言葉なしでのコミュニケーション力が求められる。
そんな時、この「彼女」との訓練がきっと役に立つだろう。
まだ3週間。
これからがボクの「寄り添い力」の見せ所だ。
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