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フィリピンはセブ島で、心痛くなる現場に出くわした

学校時代、時々、文化交流会的なものがあった。
外部の劇団を呼んだり、落語家を呼んだりして、ちょっとしたイベントが校内で催された。

日本の学校では、そのような学校主催の行事に、生徒全員が参加し、生徒全員が平等に楽しむことができる。
そんなこと、少しも素晴らしいことだとは思っていなかった。当たり前だと思っていた。あの切ない現場に直面するまでは。

私がコロナ前まで定期的に訪れていたフィリピンの小学校にて、出張で科学体験を提供するイベント屋さんみたいなのが来ていた。
校庭では空気圧でスポンッと空高く飛んでいく宇宙船のおもちゃで遊んだり、簡易的なプラネタリウムを設置して、狭いながらも子どもたちがその中にぎゅうぎゅうに入り、星空を楽しむ。

ただ、これ無料じゃない。
お金払える家庭の子しか参加ができない。

私は、現地訪問しているとき、ふらふらと一人で校内を歩き回ったりするのだが、小学校1年生のクラスを訪れた時、男の子と女の子が1人ずつ教室に残っていた。明らかに、そのイベント参加へのお金が払えなかった子たちだ。

彼らは、教室の窓から校庭を眺めていた。
何をやっているんだろうと興味いっぱいの眼差しだった。

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私が心を痛めるほど、本人たちは心痛めていないかもしれない。
ただ、これがこの国の現実なんだと知った時、ちょっと辛かった。

チケット代は、200フィリピンペソ。日本円に換算して4〜500円。
この国の人が、例えば携帯ショップとかで丸一日スタッフとして働いたとして、400フィリピンペソ弱。日本円に換算して、900円前後。

日本人の感覚としては、チケット1枚に3000円ぐらい払う感覚なのかなあ。

「あなたが出してあげればいいじゃないか」と思うかもしれない。
ただ、このイベントに参加できないのはこの2人だけじゃない。他の4年生のクラスをのぞいたら、そこには7、8人残っていた。特定の子どもたちだけ支援するわけにはいかない。

まだこの子たちは学校に来れているから良い。
お金がなくて、学校に来れない子たちもたくさんいるから。

私は数年前にフィリピンのこの小学校を訪れてから、人生が変わった。
ものすごく元気になった。

週末も仕事のことを考え、気が休まることが一瞬たりともなかった私にとって、その全てを忘れさせてくれた学校。
輝く笑顔で私をもてなしてくれた子どもたちには、いまだに感謝している。

だから、私も何とかお世話になった学校やそこに通う生徒たちに恩返しがしたく、コロナで状況が変わる前までは、定期的にフィリピンを訪問して、自分にできることでお返ししていた。

今後、どのようにして貢献していくことができるのかわからないが、何らかの形でずっとこの学校や生徒たちとは関わっていきたいと思っている。

こんな切ないシーン、おっさんの心には堪えるから。

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