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褒めない、叱らないってあり?

私の本業は教育なのですが、最近ものすごく意識していることがあります。それは褒めない、叱らないということです。これを聞くと「けしからん!教師失格じゃ!」という言葉も聞こえてきそうですが、果たして本当にそうでしょうか。私がこの理念に基づいて指導している理由を以下にお伝えしていきます。

教育ってなんだ?

教育とは何でしょうか?まずはそこから考えていきましょう。教育という言葉を分解すると「教える」と「育てる」に分けられます。それぞれについて考えていきましょう。まず「教える」とは。相手の知らないことを相手が理解できるように伝えることだとしましょう。それが目的だとしたら、いくらでも手段がありますね。それが黒板に文字をつらつらと書いて覚えさせるでも、やってはならないことをした場合は怒鳴ったりして恐怖を植え付けて二度とやらせないことも全て手段として数えられるわけです。教育者がそれぞれ良しとする手段を取り、生徒に教えていくわけです。

では「育てる」とはどういうことか。私の定義は「主体的に選択し、自分の行動を自分の責任において管理できる」としています。要するに大人にあーだこーだ言われなくても自分の意思で判断できるということです。この目的の元に教育を考えると、「褒める」ことも「叱る」こともこの理念に反することになります。詳しく説明していきましょう。

大人のための教育であってはならない

そもそも「褒める」ことも「叱る」ことも大人基準なんですね。大人の常識において、やってほしいことをした場合は褒め、やってはいけないことをした場合は叱るわけです。この教育手段をとり続けた場合、何が起こると思いますか?その生徒は大人基準でしか動かず、自発的に「これしよう」「あれしよう」と言わなくなります。褒められることしかやらず、叱られるようなことは、なぜそれはしてはならないかを考える前に「叱られるから」という理由でしなくなるわけです。完全に思考停止状態ですね。大人都合で手短に子どもを教育したい場合は有効かもしれませんが、長期的な視点で考えると、とんでもない間違いを犯しているわけです。その結果社会人になっても上司の指示を待って、その指示でしか行動しない、半ば使えない人材になるわけです。でもその現象を見て、「こいつはダメだ」と自分の責任は棚に上げ、こどものせいにするわけですね。矛盾しているでしょう。つまり、完全に大人都合の教育の世界になっているわけです。

役割が違うだけで同じ人間

ここで忘れてはいけないのは、生徒も教師も同じ人間だということです。どちらが偉いというわけでもなく、同じ目線で向かい合うべきなのです。教師は生徒の知らないことを伝える役割を持つ。では生徒から教師に与える物は何もないのか。それは違うでしょう。教師にはない生徒の知識や世界観が必ずあるはずです。その生徒独自の世界観を否定し、教師の独壇場にあっては、コミュニケーションが成立しません。生徒を一人の人間として敬愛し、同じ目線でコミュニケーションを取るのがベストです。

教師は生徒の人生に責任を持てない

これは私が生徒としても思っていたことです。いくら私が志望校に受からなかったとしても、先生は何の責任も取りません。それは当然のことですよね。勉強していたのは自分なんですから。先生は私の勉強のサポートをする役割だったわけで、私の人生に責任を負うことはできませんし、その義務もありません。つまるところ、私は私の責任において全てを選択し判断すべきで、私もそうしてきたのです。これは私が教師になっても一緒で、あらゆる選択・判断は生徒やその保護者に任せています。勉強をする判断も生徒の責任において行われ、たとえ宿題ができていなくてもそれは生徒の責任ですから、理由を聞くことはあっても叱りはしません。一緒に考えていけばいいだけですから。私の願いは生徒が自分の信念のもと、自分で目標を立てて自発的に行動すること。そのためにはその重要性を伝えつつ、その生徒が理解するまで、その時が来るまで待ち続けます。「育てる」ことには待つことも必ず必要です。

子育ての在り方

今までは教師と生徒の関係について述べてきましたが、これは親子にも言えることです。親も人間ですから、感情に触発され、ひどく怒ってしまうこともあるかもしれません。しかし、その怒りの感情さえもあなたがコントロールできることの一つです。そしてあなたのこどもの行動をコントロールしようとしないことです。向き合い続け、こどもとコミュニケーションを取りながら、こどもに、一人の人間として敬愛しつづけて下さい。その愛情はいつか子どもに届くはずです。その時まで待ちましょう。どうしても待てない。相談しないとやってられないという方は私に相談して頂いて構いません。教師の視点から、向き合い方について一緒に考えていきたいと思います。ご相談は以下のリンクからどうぞ。


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