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ファイマンさんは超天才

高校生の頃、物理が好きだった。数学ほど公式を覚える必要は無く、最低限の方程式で世の中の事象を美しい数式で表現できる。これはちょっと高度な楽しいパズルだなと言う感覚だった。若い物理の先生が、サラサラと力の吊り合いの式を書き、これを積分すれば良いからと芸術的に入試の問題を解く方法を教えてくれた。いやいや数学は物理を学ぶための手段に過ぎないと認識した瞬間であった。大学に入ってから図書館でファイマン物理学を読み耽る時期があった。読み物として楽しく、数式で表現される方程式が美しい。分厚い本だったと記憶しているがスラスラ読み進めることが出来た良本であり、これがファイマンとの出会いでした。

ファイマンは色々と親父から影響を受けたことについて述べている。決して科学者に仕向ける教育をした訳では無い。具体的にファイマンは親父からものごとをよく観察することを学ぶ。カゴの中のボールの動きを観察したり、野鳥の行動を考えてみたりと、世の中に溢れるありとあらゆる事象を、本質的なレベルで観察、考察し、理解する楽しみ方を学んだのだ。この世の中には生きているだけでワクワクするパズルに遭遇出来るし、それらは人生の時間をかけて解くべき楽しいパズル、謎解きであることを教えてくれた親父の功績は凄いと思う。残念ながら小生は自分の娘たちに、ゲームを解いていくには数学や物理学と言うツールが必要だと言うこと、そのツールを使いこなすことで、パズルが解けると言う快感を教えてあげることが出来なかったと反省している。振り返ってみると私自身、何でもやる親父の姿を見て育ったし、買ってもらったトンチンカンの科学本が面白くて繰り返し読んだことが、今の進路につながっている。私もファイマンのような人生を楽しむ冒険家であり続けたい。

最後に、震える原子たちでファイマンが説明する炭素の話は、脱炭素社会へと大合唱する世の中の人に読んでもらいたいエピソードがあるので、書き記しておく。新しい時代を作るに当たりヒントがあると思う。簡単に話をまとめる?と空気中の酸素は炭素と仲が良く、常に傍らに居たがる。木材に強い勢いで酸素をぶつけると燃焼する。この木材は炭素で出来ており、この木の実質である炭素は空気中の二酸化炭素から来ているのだ。空気中の二酸化炭素は木の中に入って、木は酸素を追い出して炭素から離れさせ、炭素と水を結びつける。しっかり結びつく酸素と炭素を切り離すことが出来る木は、なぜそう利口なんだろう。この活動には太陽が関与する。太陽の光が炭素と酸素の関係を断ち切り、木の実質を作る炭素や水を残し、厄介な副産物である酸素を空気中に放出する。この木を暖炉に放り込むと、木が放出した空気中の酸素と木の中の炭素が、またよりを戻して一緒になりたがる。熱を加えて活動を始めさせれば、盛んに運度を起こし、快い光と熱を発する。ここで出てくる光と熱はずっと前に木に蓄えられた太陽の光と熱なのだ。つまり丸太を燃やすと言うことは、蓄えられた太陽のエネルギーを取り出すことになるのである。うわぁ何てわかりやすい解説なんだろうか。キャンプの際、焚き火をしながら眺める炎が楽しみなったじゃ無いか!ありがとうファイマン。私も世の中を楽しんでみたいと思う。

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