見出し画像

マネジメント経験を正しくチートする方法

はじめまして、株式会社Mobility Technologiesで人事部長をさせていただいている辻本と申します。今回、マネジメント Advent Calendar 2021に参加し、記事を寄稿させて頂いております。

自己紹介

2008年に新卒で株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、中国事業立ち上げ、起業未遂からの出戻り、新規事業立ち上げなどを経て、2017年から株式会社ディー・エヌ・エーのオートモーティブ事業本部にて事業部人事をやっておりました。2020年4月にその事業本部ごとスピンアウトしたことに伴って、株式会社Mobility Technologiesという会社に転籍し、現在は人事部の部長をしております。

自己紹介はさらっと書けちゃいますが、その裏では「ああ、もうダメだ、オレには出来ない、詰んだ」と思う瞬間が何度もあり、その度に誰か周りの人に泣きついて、助けを求め、フォローしてもらった結果、なんとかかんとか今も生きのびております。(フォローいただいた皆様、本当にありがとうございます)

そうやってここ最近に泣きながら助けを求めた先の一つが長村さんであり、「EVeM MANAGEMENT ACADEMIA」でした。そこから縁あって認定トレーナーという形でEVeMに関わらせてもらっております。

その経緯を格好良く脚色してアレンジして書いてもらっている記事がこちらにありますので、マネジメントや仕事で「ああ、もうダメだ、詰んだ」と思っている人は読んでみてもらえると幸いです。

で、本noteは人事として新しくマネージャーになる人を見てきている中で気づいたマネジメント経験をチートする方法について書いてみたいと思います。

新しくマネージャーになる人をみていて

人事という職業上、新任マネージャーというのをたくさん見ているのですが、最初からうまくやれる人と最初苦しむ人が結構分かれます。

もちろん全く苦しまないケースはみたことがないですし、そもそも苦しむことが必ずしも悪いことではないと思ってます。(かくいう自分自身も未だに七転八倒しています)
ただ、この立ち上がりの違いは何だろうとずっと疑問でした。

EVeMの型に出会ってからは「型を(知識として)知っているかどうか」が大事なのかと考えました。でも、少なくとも自分が今まで見てきた新任マネージャーは型を知らない人が圧倒的に多い中で何故差がついているのかの解にはならないなと。

それで最近たどり着いた結論としては、

自分がやっただけではなく、受けたマネジメント・見たマネジメントを自分自身のマネジメント経験として活かせているかどうか

イメージ画像です

新任マネージャーで早く立ち上がっている人は、自分が受けた良かったマネジメントをよく覚えていて実践したり、自分が横で見ていたマネジメント出来てないケースを冷静に分析していました

マネジメントをするのは初めてでも、されたことがない、隣で見たことがないという人はいないと思います。

マネジメントされた・みた経験からマネジメントをするために必要な経験を得られるならば、マネジメントをやった経験が少なくとも経験十分ということも実現できるはず。

いわば、マネジメント経験を真っ当なやりかたでチートすることができる。その方法が、自分が受けた、または隣で見たマネジメント経験をしっかり振り返って言語化し、自らの経験にするということだなと。

やった・受けた・見たマネジメントを振り返る

自分も早速チートすべく、自分が今までにやった・うけた・みたマネジメントを振り返ってみたいと思います。

とはいえ、マネジメント経験全部で振り返るというのは範囲が広すぎるので自分の直近熱いテーマである目標設定に絞ってやってみたいと思います。
(テーマや期間を絞ってやるのが効果的です)

振り返る時のフレームワークは
やった・うけた・みた × positive/negative
の6つに分解するやり方でやってみたいと思います。

やった × positive

今年一番やってpositiveだったことは「目標設定で方針を定めたこと」です。

今までチームの目標設定というのを何度も行ってきたのですが、

  • 環境変化が大きい中で期初に立てた目標を見直すべきかどうか迷っているうちに、時間が経って環境変化への対応が遅くなっていた

  • 設定した目標が遠くて何をすればよいかわからず、とりあえず目の前のタスクに集中しようとなってしまい、気づいたら大きい目標なのに何も進んでいない

なんていうケースを良くやってしまっており、人事で各部署に目標設定などの期限を設定する立場にもかかわらず、自分自身が目標設定という行為が大の苦手でした(恥ずかしい)

それが、EVeMにて目標設定のフレームワークを学んだことにより、いままで自分の目標設定がワークしない原因は「方針がなかったせいで、目標とアクションが断絶していたから」だと気づきました。

ベンチャーマネージャーのマニュアル(基本動作 26p/122p)より

今回方針を立てるというトライによって、目標を日々のアクションに落とすというやり方が今までで一番スムーズに行きました。

あと、方針という単位では、環境変化によって柔軟に変更すべきものなので、目標をぶらさずに環境変化に対応する=方針を変更することで実現出来るようになりました

引き続きより良い方針作りと見直し方法の最適化にチャレンジしていきたいです。

うけた × negative

このパートが地味に難しかったです。時間が経つと基本美化されちゃうので、negativeなところがあんまり思い出せないなと。

そんな中、絞り出したのは「個人の目標設定(特に能力目標)とそのフィードバックをされることが少ない」という経験でした。

チームの目標はあるのですが、個人目標=チームの目標に貢献する、以上みたいになってしまっていたことが多く、評価フィードバックもチームの成果の話に終始するということが多かったです。

その時に自分が感じていた気持ちを改めて思い返してみると、

成長できているかどうかが分からない、不安、恐怖」でした。

そしてそれは自分がジュニアだろうが、シニアだろうがあんまり変わらないもので、むしろシニアになればなるほどその不安は大きくなる一方でした。

ただ、自ら目標を立ててそこに向かって努力すべき、落ちてくる目標を待っているようじゃダメという哲学が強い組織で育ったので、自らの能力の目標設定くらい自己完結させなきゃダメ、忙しいマネージャーの時間を使うのは良くないと思ってました

なので、不安に感じてもできるだけそれを出さないように、あえて意識しないようにしてたなと。

でも改めてしっかり考えると

  • 人が成長するために目標設定とそのフィードバックは非常にパワフルな仕組みである

  • 自ら自発的に目標を立てて努力することと、能力の目標設定をしっかり立ててマネージャーがそのフィードバックをすることは両立する

  • ジュニア〜シニアで変わるのはその目標設定のレベル感であって、きちんとした目標設定とフィードバックの必要性は変わらない

ということで、もっともっと個人の目標設定にコストかけるべきだと改めて思いました。

みた × positive

目撃した良いマネジメント方法は色々あるのですが、目標設定関連でいうと、週報があります。

EVeMでは1週間の進捗がweekly reportとして皆に共有されます。

その週に起こった進捗を並べて記載して、感想をつけたものなのですが、その文章をビール片手に読んでいると、「ああ、一週間でこんなにも進んだんだ」「このチームこのまま行ったらとんでもないこと成し遂げちゃうんじゃない?」という気分がしてくるのです。

目標・方針を設定し、その進捗を丁寧に可視化する」というシンプルな行為がこんなにもパワフルなモメンタム製造ツールであることにすごくびっくりしました。

もちろん、文章力の高さや実際にチームとしての進捗の多さなど複合的な要因はあるので、簡単に真似できないとは思いますが、是非トライしたいマネジメント体験でした。

みた × negative

いわゆる他山の石というやつですが、印象に残っているものでいうと「目標設定における意義の説明は繰り返し必要」です。

目標もきちんと設定されており、野心的で、その上大きな成果が出ている部署があるのですが、どうも退職者が一定出る状況が続いていました。

成果が全然出てなくて、閉塞感が出て、退職者が出るというなら理解できるのですが、不思議に思って退職する人に話を聞いてみると出てきたのが「やっているうちに疲れてきた、自分がやっている意味が分からなくなってきた」でした。

自分が「いやいやこんなに成果が出てて、それによってこんな未来が見えるようになるじゃないですか!」みたいな話をすると、「そんな風に見えていたのか、そんな意味があったとは知らなかった」という感じで返ってきました。

もちろん、その目標に意義がなかったのではなく、かつマネージャーも意義をきちんと説明していました。おそらくそのメンバーも意義の話を一度は聞いているはずです。

ただ仕事が立て込んでくると、意義の話は、みんな知っているよねということで省かれやすい。
人によってその意義の話をされている回数や理解度は一定ではないので(大抵マネージャーが一番理解度が高い)、省いてしまう状態が続くと、仕事の意義はマネージャーが思っているより早く薄れてしまうのだなと感じました。

意義の話は、皆が知っているとか知ってないとかにかかわらず、繰り返し折に触れてやるということの大事さを再認識しました。

まとめ

色々思い出して整理してみると、

  • positiveに思ってたのにやってなかったり

  • negativeに思ってたのに自分でやってしまっていたり

ということに気づきます。

(ちなみに、やった × negativeとうけた × positiveがないじゃないかというのはその通りです。事例が多すぎて逆にまとめきれず挫折したのでそっと割愛しました。ごめんなさい)

私の場合には

  • 週報はじめられていない(あんなにいいと思ったのに!)

  • 個人の能力目標設定がシニアなメンバーほど疎かになっている(あんなに自分は不安に思ってたのに!)

ということに気づいてしまいました(恥)

これらは2022年の目標としてしっかり改善していきたいと思います。

皆様も是非、年末年始の時間等を使って、「自分がやった・うけた・みたマネジメントでpositiveだったこと・negativeだったこと」の整理をして、マネジメント経験のチートにチャレンジしていただければ幸いです。

さいごに

「やった」「うけた」「みた」マネジメント経験のなかで一番増やしやすいのが「みた」という経験です。

同時に複数チームをマネジメントしたり、複数の上長にマネジメントされるのは大変だけど、同時にいろんなチームのマネジメント方法をみる(知る)のはそこまで大変じゃないと思います。

とはいえ、自社だと見る範囲も限られるし、他の会社のマネジメントについて知る機会って普通にやっているとあまりないのかなと思っています。

そういう意味で、EVeMが運営しているEmoはいろんな会社のマネージャーがマネジメントについて学び合う場になっていますので、「みる」マネジメント経験を増やすのにとても良い場になっています。

自分自身の体験を積み上げるよりももっと早くマネジメントのスキルを上げたいと思っている方は是非覗いてみてください。

おまけ

Mobility Technologiesは「移動で人を幸せに。」をミッションに日本のモビリティ産業をアップデートするという意義の元、各種事業に取り組んでいます。(そのミッションは知らなくとも「GO」のロゴが書かれたタクシーはみていただいたことがあるのではないでしょうか。Mobility Technologiesの主力事業です)

ミッションに興味がある方、タクシー体験のDXに興味がある方がもしいらっしゃったら是非下記HPも覗いてみてください。まずは話聞いてみたいなんかも大歓迎です。

長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?