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自我

 随分と長い時間、文字を書くことから離れていた気がする。私の中で生まれて消えていく感情や、少女の嘆きや男性の物語は誰に認知されるわけでもなく消えてしまうのかもしれない。きっと見たことのある姿でしょう、聞いたこのとある言葉でしょう、それでも私の中に芽生えた言葉や姿を可能な限り、文字にしたいとたまーに思う。

 私はこの場所で私の中で死んでいくものたちの言葉を少しでも拾い上げて、書き記していくしかない。歴史の中に私はいなくても、私の歴史の中にあなた達はいたんだと思い出させてあげたい。きっとこれから年をとって、少しずつこぼれ落ちていく記憶だから、どんなかたちでも残せたらいい。

 会社で提出する様式美に則った文章に埋もれるたびに、感情的な言葉や、突発的な文章の並びを愛したいと思う。これからもきっと自分に酔いながら書き続ける。それでもいいと思っている。

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