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建築家?

建築家による哲学や設計アプローチが定型化して取り上げられ、流派のようなものを形成しているように思う。 これが芸術家でもある建築家の側面であろう。 若手設計者たちは、巨匠やスター建築家たちの考え方に賛同し、設計手法を真似てみる。 目前の問題に対して試行錯誤していった結果、回を重ねていくうちに似たような傾向が見出されて1つの哲学に昇華するのは理解できる。 しかしながら、強大な原理原則を無理に適用して、体裁を整えるのはデザイナー・設計者として良きことなのか。 勉強段階にお

Semester 4 Week 6「真似事から本物のスキルへ」

夢で母から、「良いと思ったデザイン・意匠は自分で再現できるまで絵を描け」といったようなことを言われた。半ば御告げである。 確かにこれまで幾多もの優れた建築や芸術的な作品をテレビで見たりネットで検索してきたが、何一つ完璧に絵や模型で再現できるものはない。ぼんやりと形が頭の中で浮かぶのみで、かみ砕いて自分のものとするレベルに達していない。 今までやってきたことはただの真似事か見学のようなものだったといえる。Feedlyでデザインのサイトを読んだりYouTubeで海外の建築動画

Semester 3 Week 11「デザイナーに求められること」

先日"Internal Review (中間講評)"があった。そこでいただいた学科長からのコメントが今週の話題。 マレーシアの大学では課題が出されるとProject Briefというものが配布され、課題の趣旨や最低要件がはっきりと提示される。しかし、その項目を満たすだけでは不十分。 これまではその要件を守ることに執着してしまい、満足のいく作品が残せていなかったが、先生からの助言でようやくそのモヤモヤが晴れた。 その言葉が Special Experience 建築家

Semester 3 Week 10「建築地理学という分野があったら学んでみたいという話」

サムネは2019年に行った福島の五色沼 地理を意識し始めたのは高2のとき。 その頃は既に落ちこぼれになっていて、ほぼ全ての科目で学年下位10%だったけれど、なぜか実力考査で100数人中5位を取ったことがきっかけだ。 定期考査では真ん中より少し下くらいだったのでかなり驚いた。もしかしたら地理的だったり統計的な考え方が、人より少し得意なのかもしれないと。 おそらく小さい頃から、母とヨーロッパ〇〇紀行とか鉄道の旅、NHKの自然特集などをテレビで見ていたので、ある種の刷り込み

Semester 3 Week 3「"住むための建築"と"アートとしての建築"」

経験と知識不足のために深い議論はできませんが思考メモとして残しておきます。 建築家が設計した建物は必ずしも住みやすいものではない。なぜなら建築設計において考慮される項目は住みやすさだけではないからだ。 住宅街でよく見る機能的な建築に対して、抽象的なコンセプトに則ったものや、その場所その時代に設計されたこと自体が貴重だとされる文化的な建築もある。 建築家は「風通しを良くしたい」といった表面的な課題ではなく、根本的なその基礎の部分―哲学的な領域にまで思考を凝らしながら設計す

【留学日記】Semester2 Week9「デザインとアートの違い」

日本の大学入学前にやりたいと思っていた建築は、デザインではなくアートだった。 専門科目の初授業で「全てのデザインには理由がある」と教わったが、当時はその本質をつかめぬまま、ただその言葉をノートに書き留めた。 しかし、講義が進んでいくと設計の課題でエスキスの機会に巡り合い、自分がデザインとアートを混同していたことに気づいた。 *** そのエスキスで「なんでその形にしたの?」という教授のコメントを耳にした。 それ聞いたとき『その人が自分のセンスでそうしたいって言ってるか

思考メモVo.3[公私をしっかりとわけた住宅街の計画]

高級マンションだけでなく一般的な集合住宅や戸建て住宅が集まる場所にも住民たちが集える公共のスペースがあれば、より地域内で協力できるようになり、精神的な苦痛に悩む人が減ったり、高齢者の知恵を若者に受け継ぐ機会ができると思う。海外のコンドミニアムでは複数の棟がつながっていて中央に屋上庭園やプール、公園があったりする。(特に自分の居住地域は高齢化が進んで新たな世帯が少ないためその必要性を強く感じるのかもしれないが...) 自分の近所では、自治体を脱退する人が増えてきていて少し不安

思考メモVol.2[建築設計か不動産か]

建築学科で1年間勉強して考え始めたことがある。 それはこれから先建築設計一本で生計を立てていくかどうかだ。 建築を学び始める前までは祖父が事務所を立ち上げて地方で成功したことから、設計で家計を支えることはそこまで難しいことではないと甘く見ていた。 しかし、一流建築家の設計事務所の裏側をテレビや本で垣間見てから、設計をやり始めたらそれしかできなくなってしまうのではないかという不安が芽生えた。 コンペに参加するとしたとき、何十時間と設計に力を注いでも審査員が「却下」と言え

思考メモVol.1[建築保護]

今回から始める「思考メモシリーズ」では、あまり考えがまとまっていない知識・思考の断片を今後のインスピレーションのために殴り書きする。 初回は建築保護について、、、 ・文化財やランドマークは、歴史上の「作品」として同じ姿・用途のまま保護されるのが良い。 ・時代の流行に乗って生き残るためには、形や用途の変化が求められる。 ・住居として使われていた日本家屋を古民家カフェとして再利用したり、使われなくなった教会を図書館に改装するのは良い例。 ・リノベーションは歴史を未来につ