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【ダンボールの基礎#3】ダンボールの原料は「ダンボール」!? リサイクル率ってどれくらいあるの?


わたしたちの身近なものとなっているダンボール。

通販で購入したものがダンボール箱で届き、それを解体して子供のおもちゃにして、飽きたらそのまま資源ゴミへ。回収されたダンボールはまたリサイクルされます。
そんなダンボールですが、皆さんは原料を詳しくご存知でしょうか。今回はダンボールの『原料』に焦点を当てたいと思います!

ダンボールの原料とは

『ダンボール』というのは、三層の厚紙からできています。表面と裏側の厚紙を表ライナー裏ライナーと呼び、中に入っているナミナミの厚紙を中芯と呼びます。

この3つが合わさった段のことをフルートと呼び、薄いものから厚いものまでさまざまあります。中にはフルート同士をくっつけて、さらに厚みを増して強力にしたものも!ダンボールは、このように厚みや使う紙の種類によっていろいろな質感になります。

製紙工業では、表面の原紙、中芯の原紙、裏面の原紙の3つのシートを作り、最後に貼り合わせて、フルートにしています。

ダンボールシートを作る機械をコルゲートマシーンと呼び、製紙工場ではなんと、長さが100mもあるコルゲートマシーンで接着していきます!

パルプの含有率で変わるライナーの種類

ライナーの材質のことをK5やC5という呼び方で呼ぶのですが、このKというのは紙パルプの率で決まります。5というのは重さの単位です。その昔、日本では『g』(グラム)の単位が浸透しておらず、『匁』(もんめ)という5円玉の重さのサイズを1と呼んでいました。そのため、『K5』や『C6』のように今でも匁の重さで重量を表すのです。

話を戻して、『K』というのは、別名クラフトパルプとも呼ばれます。昔は100%バージンパルプが使われており、もっとも高級な紙として使われていました。現在は製紙の抄造技術が進歩したので、50%程度古紙を含んでいます。

現在使われているライナーは以下のものが主流です。

Kライナー……クラフトライナー (古紙含有率 50%以上)
Cライナー……ジュートライナー(古紙含有率 90%以上)
Dライナー……ジュートライナー(古紙含有率100%)

昔は、D4<C5<C6<K5<K6<K7と6種類のライナーがありますが、いま一般的に使用されるのはC5・K5・K6の3種です。

昔のダンボールはパルプがたくさん使われていましたが、現代ではリサイクル技術が発達し、リサイクルに出されたダンボールでまた新たなダンボールが作られるようになりました。そう、『ダンボール』の原材料は『ダンボール』なんです!
(ダンボール以外にも、雑誌や古紙もダンボールの原料になることがあります)

本来なら、100%古紙でもダンボールは作られるのですが、ダンボールの強度はパルプに比べると、ちょっと弱くてざらざらしているので、ダンボールの表面に印刷する場合や、強度を求められるダンボールにはパルプを入れるようにしています。

ちなみに、ダンボールに使われるパルプは、再生可能な木材が原料となっています。間伐するために切られる木材や、細いままの木、うまく成長できずに曲がってしまった木などを処分せずに有効活用しています。また、家を解体したときに出た柱の木を利用してダンボールが作られることもあるんですよ。

ダンボールの中芯の材料

中芯に使う紙はライナーで使う紙よりも落ちた紙を使うのが一般的です。

その理由は、中芯に使う紙は印刷をしないから。Kライナーを使う必要がないのです。波状に加工できて、折り曲げやすく、接着性もよいもの、という観点から紙を選びます。
そのため、中芯は紙質よりも、重さや強化されているかが表示のポイントになります。
『強化』とついているものは斤量は同じでも、薬剤で硬くしてある商品のこと。
「それならみんな強化したらよんじゃない?」と思ってしまいますが、薬剤で強化することで、丈夫になり曲がりにくくなります。そのため、薄い紙で強化芯を使ってしまうと、パキンと割れたり、表面がでこぼこしてうまく印刷できないというデメリットがあります。

どの中芯を使うのかというのは、製紙工場の方が試行錯誤して「この紙質にはこれが合う!」と選んでいるのです。

ダンボールのリサイクル率はどれくらい?

「ダンボールの原材料はダンボール」というお話をしました。そう、私たちがダンボールをリサイクルに出さなければ、ダンボールを新たに作ることができなくなってしまうのです。

現在では「ダンボールをリサイクルしよう!」という動きはますます高まっています。

以下、ダンボールのリサイクルに関する記事を引用します。

『段ボールの回収率は2004年時点ですでに80%以上の高いレベルに達していました。自主行動計画はこの高いレベルを維持するという意味で第1次計画では90%以上、第2次計画では95%以上を維持するという目標を設定し、それぞれ目標を達成しています。
段ボールは完備されたリサイクル機構のもとでリサイクルされており、使い終わった段ボールはそのほとんどが段ボール原紙の主原料として使用され、再び段ボールに生まれ変わっています。今後もこのリサイクル機構を維持し続けることが最重要課題と考え、第3次計画は引き続き95%以上の維持を目標として取り組んでおり、2017年実績は96.1%となり、目標を上回っています』

出典:全国段ボール工業組合連合会

ダンボールにはよ~く観察すると、リサイクルマークがついています。これは、国際段ボール協会(ICCA)の世界共通のダンボールマーク。ダンボール協議会はこのマークをすべてのダンボールにつけることを目指しています。

このマークの印刷率(マークが印刷されたケース数/総印刷ケース数)の調査結果は、初回2007年10月調査で28.4%だったものの、2010年4月調査では90.2%となり、第1次計画をクリアしました。

その後第2次計画、第3次計画では表示率90%以上の維持・向上を目標としていましたが、現在は92.5%と高い印刷率を誇っています。

リサイクルするために大切なこと

ダンボールをしっかりとリサイクルに出すために、私たちができることはなんでしょうか。
それは――ダンボールを使った後、できるだけキレイな形でリサイクルに出す、ということです。
ダンボールは濡れたり、カビたり、汚くなってしまったら、そのままリサイクルに出すことができません。
そのため、処分するダンボールは、テープをキレイに取って、まとめて置いておくことが大切です。

ダンボールの原料のほとんどが、使用済みの紙。1995年に制定された容器包装リサイクル法において、ダンボールはリサイクルシステムが確立されていると認められ、再商品化義務が免除されるようになりました。わたしたちは、地球環境のためにも、どんどんダンボールをリサイクルすべきです

リサイクルに出すときは、ダンボールに貼られたガムテープ、宅配便の伝票、ホッチキスなどをはずしておくと、回収する人が楽に回収できるので、ぜひ積極的にはずすようにしてくださいね。

表面がコーティングされている場合は可燃ゴミになるので注意が必要です!

役に立ってくれたダンボールに「ありがとう」とお礼を言って、「また会おうね」という気持ちで丁寧にお別れしたいですね!


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