Netflix「ハイ・フォン: ママは元ギャング」(ネタバレあり)

以前、アフター6ジャンクション(アトロク)で名前が挙がっていた作品。ようやく観ました。
昨今、女性が主演の海外アクション映画が日本で公開される機会も増えてきましたね。
「ワンダーウーマン」は日本でも大ヒットしましたし、個人的には「アトミック・ブロンド」が大好きです。

ハイ・フォンは主人公の名前。
舞台はベトナム。ベトナム映画ってほとんど観たことなかったです。
主人公はシングルマザーで、娘と2人暮らし。
父親のことがまったく描かれていないのも「いまどきの映画」っていう感じ。
顔馴染みの男性刑事は登場するけれども、色恋沙汰の気配は無し。
こういうドライな空気は好みです。
男と女が出てきたらすぐに恋愛模様になるのって、あまりに安易だものね。

ストーリーはきわめてシンプルで、誘拐された娘を主人公が取り返しにいくという、いわば「96時間」のパターン。
主人公と娘の関係だけでなく、主人公とその父親との関係も描かれています。
ちょっとおもしろかったのが、主人公の母親の描写がほぼなかったこと。
ハイ・フォンの戦闘力の源が、格闘技の師範だった父親の教えにあることが理由なのかもしれないけれど、ひょっとしたらベトナムの国民性みたいなこともあったりするのかな。
そういえば、たしか「モリーズ・ゲーム」も、父親と娘との関係が濃密に描かれていたっけ。

ハイ・フォンが習っていた格闘技については、たぶん劇中では明確に語られていないと思う。
劇中で寝技はほとんど出てこないから、おそらくは空手みたいな立技主体のやつなんだろうな。
ラスボスとの戦いは蹴り技で終わらせていたから、テコンドーとかに近いのかもしれない(単に見栄えがするからという可能性もある)。

こんなアクション見たことない!という感じの殺陣ではなかったけれど、借金の取り立てというストリートファイトを日々生き抜いてきた「しぶとさ」「タフネスさ」みたいな空気は感じられた。

ゴー・タイン・バン(英語名:ベロニカ・グー)の目つきが良かったなぁ。
いつも何かに怒りを抱えているような鋭い目つき。

映画って2時間前後でストーリーを描かなきゃいけないから、主要人物の描写にあまり時間をかけていられない。
だから、「この人はこういうキャラ!」っていうのを見た目一発でアピールできれば、時間も省けるし、客の印象にも残るしで一石二鳥。
娘を救うために全てを投げ打つ覚悟が目つきに投影されていて、実にすばらしかったです。

こういう作品がNetflix独占でリリースされるんだから、そりゃ映画業界は戦々恐々だよね。
とはいえ、こういう痛快なアクション映画こそ、大スクリーンで観たいとも思うわけで。
とにもかくにも楽しい映画でした。

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