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都民ファ代表質問②「経済編」 

 経済政策について伺います。これまでにも、東京一極集中という安易な言葉で東京の競争力をそぎ、地方創生にも日本全体の国際競争力にも繋がらない施策が繰り返されてきました。言うまでもなく、東京は日本経済のエンジンであり、日本の成長のためには首都東京の成長が欠かせません。


1) 中小企業:価格転嫁に向けた支援

都民ファーストの会東京都議団の代表質問に登壇する村松一希都議

 都内企業の約99%を中小企業が占める中で、東京の経済成長のためには、中小企業の経営への支援が欠かせません。
 しかしながら、エネルギーや原材料の価格高騰の長期化などにより、都内中小企業からは「価格転嫁が難しく、経営状況はさらに厳しくなっている」との声が届いています。特に労務費については、公正取引委員会の調査においても、転嫁が進んでいないとの結果が出ており、この対応が求められています。
 そのような状況を踏まえ、国では昨年11月に「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表し、発注者・受注者のそれぞれの立場からとるべき行動を示し、取引適正化を後押ししています。

Q. こうした国の動きも踏まえ、中小企業の価格転嫁に向けた取組を積極的に後押ししていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

<産業労働局長>
 原材料等の価格高騰が続く中、中小企業がコストの上昇を反映した適正な価格で取引を行い、経営状況を改善できるよう支援を行うことは重要。
 都では、専門家が企業を個別巡回し、取引適正化に関する国の指針の丁寧な周知や相談等を行うとともに、 昨年度(令和5年度)は要望のあった 35 社に具体的な価格交渉の手法等を助言
 さらにこの(労務費の転嫁のための価格交渉に関する)指針を踏まえ、交渉が効果的に進むよう、交渉先の企業との取引額等を元に労務費の増加分を容易に計算できるツールの提供を開始。こうした支援策をセミナーや SNS 等で積極的に周知し、中小企業の価格転嫁に向けた取組を着実に進める。

2)中小企業:「新札切り替え対応」の機器更新支援

2024年7月3日から新紙幣→機械の更新が必要に→支援必要

国立印刷局HP

ちょうど1カ月後から始まる新紙幣発行を前に、両替機やレジスター、券売機などの更新が進んでいます。一方、機械の更新には数百万円単位の経費がかかることから、小規模な飲食店等では更新費用が大きな負担になっています。一部の自治体では補助の動きも出始めており、東京都としても経営に苦しむ中小企業者に寄り添い、支援を行うべきです

また、インバウンド需要の伸びは中小事業者にとって大きなビジネスチャンスになります。新札切り替えと同時に、多言語対応やキャッシュレス決済など、変化するニーズに即した機器の導入を後押しする必要があります。

Q. 今年 7 月からの「新紙幣発行への対応」等、中小企業を新たな対応を迫られている状況を踏まえ、チケット販売機設置の支援を行うなど、都は適切に支援を行うべきと考えま すが、見解を伺います

<産業労働局長>
 中小企業が、需要回復や消費者ニーズの変化といった、新たな経営環境に柔軟かつ迅速対応し、事業の発展を図ることができるよう支援を行うことは重要。
 そこで都は、今年度から、事業者が創意工夫を生かして既存事業を改善・強化するための支援を開始。例えば、決済を効率化することに加え多言語対応や決済手段の多様化など、インバウンド に対応し売上向上に役立つ性能を備えるチケット販売機を設置する場合などに、その経費に関して助成、こうした取組により、中小企業の経営力強化につなげていく。


追記:新紙幣対応、多言語、キャッシュレス決済機器導入支援の詳細


3) ナイトタイムの価値向上、ナイトタイムエコノミーの推進

 だれ一人取り残さない東京の実現のためには、「稼げる東京」を実現し、財源を確保していく必要があります。

ナイトタイムエコノミーの経済効果

 コロナ前のデータではありますが、ナイトタイムエコノミーの推進に取り組むロンドンでは約3.7兆円、ニューヨークでは約2.1兆円の市場規模があり、雇用創出にも大きく寄与しているとされます。

ナイトタイム観光、 歴史・文化を活かした観光 の促進について/ 東京と産業労働局(2024年2月13日)

 東京のさらなる経済成長という観点から、私たちは、ナイトタイムの価値向上・ナイトタイムエコノミーの推進を求めてきました。

 都は、都民がナイトタイムを楽しみ、さらに、外国人旅行者の誘致や観光消費の増加を図るための具体的施策を進めており、ナイトタイム観光の充実を図るため、有識者による実務的な検討の場(※)を設けたことも歓迎します。


※東京の観光振興を考える有識者会議 ナイトタイム観光部会(令和6年5月29日)

 東京都では、幅広い分野との有識者との意見交換を通じて東京の観光振興に必要な施策等を検討するため、「東京の観光振興を考える有識者会議」を設置しています。 ナイトタイム観光の一層の促進に向けた施策等を検討するため、本有識者会議に「ナイトタイム観光部会」を設置さて、第1回目の会議が開催されました。


都庁プロジェクションマッピング

Q. そこで、都庁舎のプロジェクションマッピングの成果や今後の展開を伺うとともに、東京のナイトタイムの更なる価値向上に向けて、有識者による検討の場で提案されたアイデアを踏まえて具体的に取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

<産業労働局長>
 東京が、国際的な都市間競争の中で観光地として選ばれるためには、夜間観光の活性化が不可欠である。

 都庁舎で実施しているプロジェクションマッピングは観覧者数が開始から 3 か月で 20 万人を超え、東京の新たな観光スポットとなっている。また、観光事業者がプロジェクションマッピングを鑑賞する旅行商品を販売する取組も 出てきており、経済面での効果も見られる。今後は、クリエイターを目指す学生が制作した作品を投影するなど、 若手人材の育成 の場としても活用する。

 加えて東京の強みを活かした誘客の強化等に係る有識者の議論を踏まえ、ナイトタイム 観光の施策の充実につなげる。

 世界の激しい都市間競争の中、東京は世界の都市ランキングで8年連続で3位となり、世界をリードしてきましたが、日本はGDPでドイツに抜かれ、インドにも抜かれる見込みであると指摘されています。東京も全力で、都市の魅力向上を追い求め続けなければなりません。

 世界ではスペインのサクラダファミリアや、オーストラリアのオペラハウスなどでもプロジェクションマッピングが行われており、多くの人を魅了していると聞いています。休日や夜間に人が訪れなかった西新宿に、世界から人を呼び込むためのチャレンジが、世界トップレベルの都庁へのプロジェクションマッピングであり、今後民間とも連携しながらさらなる経済波及効果を生み出すよう求めます。

4) 「カスタマーハラスメント防止対策」の正しい運用

 都は先月、カスタマーハラスメント防止のための条例検討に向け、公労使の関係団体で認識の一致を確認したところですが、条例制定へ着実に前進していることを評価します。カスタマーハラスメントに悩む現場は、店舗や企業だけではありません。行政や地域活動の現場からも対応に苦慮する悩みが聞かれ、悪質な行為に毅然とした対応を行い人材の流出を避けるためにも都の条例に対して多くの期待の声が寄せられています。

 カスタマーハラスメント防止に向けた行政の支援による広がりが期待されますが、過剰な防止対策により消費者が委縮したり、行政に対して意見を伝える機会を奪うことは、当然に避けなければなりません。

Q. 都は、カスタマーハラスメント防止の条例化の検討に当たり、行政に関する説明会やボランティア活動の場なども対象となる幅広い適用範囲とするとともに、正しい理解のもとで条例が運用されるよう指針を示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

<小池都知事>
 働く方をカスタマーハラスメントから守ることは、社会経済活動を維持していくことにほかならない。公務を含め、幅広い現場での対応は待ったなしだ。この間、検討会議では、官民を問わず、また就業形態によることなく、東京で働くあら ゆる方をハラスメントから守る条例の必要性が明らかになった。消費者等からの意見の申 出を不当に妨げないことや働く方と顧客等が相互に尊重しあうことも重要だ。
 そのため、今後、条例と併せ、その考え方や運用のあり方を示すガイドライン等の検討に着手する。その中で、あらゆる現場を念頭に置き、効果的な対応策を示すとともに、条例の正しい理解を促し、相手の立場を互いに尊重できる社会を作り上げていく。

 今後は条例やガイドラインを示すことに加えて、カスタマーハラスメントから従業員を守るための録音機器購入などの財政支援を求めます。都民へ直接サービスを提供している都の交通局等では、ハラスメントに悩む場面も多いと聞いています。現場で働く都職員をしっかり守っていただくよう要望します。

5) スタートアップ:SusHi Tech Tokyo

 小池知事はこの間、きめ細やかな目線に加えて、世界を見渡す大局的な視点から、東京を再びアジア、そして世界を牽引する都市へと飛躍させるための取組を重ねてこられました。

都議団でSusHi Tech Tokyo 2024を視察

 私たち会派として視察をした「SusHi Tech Tokyo 2024」は、昨年のスタートからわずか2年で、アジア最大規模の催しとなったとのことで、東京の底力と将来への大きな期待を感じました。 

 様々なスタートアップや、家族連れから大学生まで楽しめる魅力的なコンテンツ、東京が世界の都市をリードする国際会議など、持続可能な社会を作っていく前向きな潮流を生み出すことができた、と高く評価しています。是非、来年もまたその次も、継続して開催することで、「東京に来ればイノベーションに出会える」という認識を世界中に広げていくことが重要です。

Q. 未来の都市像を示したショーケースプログラムでは、多くの来場者から未来に期待するアイデアも寄せられていましたので、政策の種に活かすべきです。また、このイベントの中で披露された新技術の社会実装を推し進めることで、持続可能な都市の実現に近づくと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁する小池百合子都知事

<小池都知事>
 (SusHi Tech Tokyoは)「持続可能な都市を高い技術力で実現する」この理念を掲げ、開催2年目にしてアジアを代表するイベントに発展し、430 を超えるスタートアップ、45の都市の代表、更には 60 万人を超える方が集う場となり、将来に向けた大きな手ごたえを得た。

 斬新な技術に触れるショーケースプログラムでは、植物由来のサステナブルな料理を味わい、会場を巡りNFTの画像を集める機会などを提供。未来の社会に不可欠な再エネや水素の利用や高度な技術の粋を集めた次世代のモビリティに触れ、子供達が未来のテクノロジーを実感する工夫を行った。

 今後は、会場となった海の森エリアなどで、太陽光や水素のエネルギー利用に向けた実装を進め、東京での普及の後押しに繋げて参ります。将来の交通を担う空飛ぶ車や自動運転の実用に向けロードマップに則り、民間と協力し取組の加速を図る。 このイベントを契機とする動きを「東京発の持続可能な社会の実現」に確実に繋げていく。

6) スタートアップ:実践の場であるTiBの展開

 小池都政の2期目において私たちと二人三脚で進めてきた重要な施策の1つが、スタートアップ振興です。SusHi Tech Tokyoではアジア最大規模のイベントを開催、私たちの提案で実現したTiB(Tokyo Innovation Base)等、爆速で都のスタートアップの取り組みが進んでいます。
 
Q. 世界最高にスタートアップフレンドリーな東京の実現に向けて、この流れから大きなイノベーションを巻き起こしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

<小池都知事>
先日のSusHi Tech Tokyoには、スタートアップや投資家、若者など、四万人を超える方々が参加し、熱気ある議論が交わされ、様々な出会いがあった。ここで生まれたイノベーションの種を大きく育てていく実践の場が、TiB(Tokyo Innovation Base)です。
 グランドオープンに合わせて、スタートアップと支援者が交流する場を大幅に拡充するとともに、ものづくりスタートアップの製品試作を専門的にサポートする 「FAB」 や、 食や小物などの新製品をテストマーケティングする 「SHOP」など、 幅広いニーズに応える機能を整えた。

加えて、宇宙やディープテック等、特定領域でのユニコーン育成に向け、企業のクラスター形成を支援する大規模なプロジェクトを開始する
 TiBを結節点に、多くの関係者の協力を得て、様々な実践を積み重ね、大きなイノベーションのうねりを創り出していく。

→「まちづくり」に続く