勉強時間を確保する方法(その1)

0. はじめに

仕事をしながら社会人大学生(通信課程)、副業エンジニア数社、複数の外国語学習、大学生レベル以上の学術書籍や論文を毎年百本以上読み続ける。そんな生活をしていると、「どこにそんな時間があるのか?」と問われることがよくあります。
自分でも、自分の生活と他の人の生活にどのような違いがあるのかイマイチよくわかっていませんが、「勉強する時間がない!」という悩みを抱えている人がいれば私の生活スタイルは少しは参考になるかもしれません。「比較生活学」の資料としてでも活用してください。

1. 自分の生活スタイルを把握する

これは一番重要です。試しに1週間でも1ヶ月間でもいいので、自分が何をしていたかを簡単で良いので記録してみましょう。普通の手帳でも、24時間の枠が書いてあるエクセルでも構いません。
記録が進んできたら、自分の生活のうち、「自分の意思で用途を決められない時間」(=拘束時間)と「自分の意思で用途を決められる時間」(=自由時間)を分類します。このとき、「毎週花金飲み会に行く文化だ!」「毎週この日は必ず残業だ」という場合はその時間を拘束時間に、突発的な残業や飲み会などは自由時間に属するものとしてください。
分類ができたら、次は内容チェックです。
チェックポイントは、
 ①拘束時間のパターンに規則性はあるか
 ②自由時間がどれぐらいあるか
 ③現状「有効活用できた!」と思える自由時間はどれぐらいあるか
です。
やってみると分かるのですが、自分の行動というのは自分ではなかなか客観視できないものです。自分の拘束時間と自由時間がどのような構成になっているかを頭に入れておきましょう。これで準備は完了です。

※当然生活スタイルの変化で構成は度々変化していきますが、時間の属性に敏感な生活を送るのが当たり前になれば、記録をつけるまでもなく自分の生活の時間構成が見えるようになってきます。

2. 自由時間の時間割をつくる

拘束時間のパターンに規則性が見える人は、自由時間のパターンにも規則性があります。そうでなくても、1週間の自由時間の合計はある程度決まった値に安定することが多いと予想されます。しかしながら、自由時間を認識できたところで、それをフルタイムで活用することは体力的にも気力的にも困難という人が多いのではないでしょうか。

私は巷でよく言われるように「習慣」を作ってしまうことが自由時間を有効に活かすための最もよい方法であると考えています。
私が勉強や趣味(これも世間的には勉強らしいけど)に効率よく時間を注ぐことができる一番の理由は「習慣」を作ることが非常に得意であることだと考えています。

「それじゃ、どのように習慣を作ればいいの?」

というのが読者さんの疑問でしょう。
私の答えは習慣にしたいことを含めた自由時間の「時間割」を作ってしまうことです。
「日常まで時間割に縛られるなんて嫌だ!」という人が大半かもしれませんが、それは私も同感です。なので、時間割はあくまで作るだけで、従うわけではありません。
作るだけで意味があるのか?と感じる方もいるかもしれませんが、時間割の存在を感じていることによって、自由時間において「あ、今なにもやってないな、どうしよう」と感じたときにすべきことのデフォルト設定が決まっている状態を作ることができます。

この方法は「ナッジ効果」という有名な行動経済学の理論に基づくひらめきから始まっています。「ナッジ効果」の有名な例は以下のようなものです。

「運転免許証更新の際の臓器提供意思表示のデフォルトを『拒否する』から『提供する』に変更したことによって臓器提供者数が増加した」[1]
[1]Behavioral Insights Team (2013). Applying Behavioral Insights to Organ Donation: preliminary results from a randomised controlled trial. Cabinet Office.

上記の引用論文から類推されるように、デフォルト設定があることによって、行動パターンの統計分布はデフォルト設定側に寄っていく傾向が生まれます。
「今の時間のデフォルト設定は○○だ」という認識が頭の片隅にあるだけでも、生活は少しずつデフォルト設定に向かって変化していき「習慣」が生まれ始めます。統計的な変化なので、別に毎日時間割に従う必要はありません。平均値がデフォルト設定に寄っていけばいいのです。

ちなみに、私は勉強(インプット)が大好きなせいで発信(アウトプット)が大の苦手でした。
今、私の時間割には木曜夜に「アウトプット」と書かれています。
(最近更新が滞っているのでちょい古バージョンですが)

積極交流=花金飲み会です

3. 最後に

合理的に自分の生活スタイルをエンジニアリングすることで、自分の時間を自分自身で思うがままに操作することができるようになります。
今回紹介した、「自由時間の認識⇒時間割作成による自由時間のデフォルト設定構築」の流れはシンプルですが、ナッジ理論の通り非常に有効な手法だったと個人的に体感しています。

他にも生活の合理化のために経営学や行動経済学、心理学などで勉強した様々な理論の応用を試みて失敗したりうまく行ったりしていますが、時間があればまた記事にできればと思います。

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