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【チェリーの薔薇の秘密2】3部  〜対決〜エンディング


9、脱出への道

地下室は狭くて、カビくさくて、チョロチョロ水が流れていて、ネズミがいかにもいっぱいいそうでした。
いつもならネズミに興味があるミョミョねぇですが、すっかりだまっていました。 
ハギスは、毛むくじゃらの頭をかかえながら「あ~オラがちゃんと道をおぼえていたらな~・・・
でも、兄ちゃんたちはぜったいにあの方向にむかって出発していたし・・・
なんで道に迷ったのかな~?」
月の灯りが地下室の窓からこぼれてきて、ハギスは自分の毛むくじゃらのあたまが床にうつっているのを見ました。
ミョミョねぇはというと毛づくろいを始めていました。
ハギスが横にきていいました「君たちは、こんな時でさえ、毛づくろいをして、自分たちの身だしなみを整えるのかい?So mad! 」
ミョミョは毛づくろいを少し止めて「それがネコよ」と言いました。

チェリーは肉球と肉球をあわせて祈りました。 
そういえば、チェリーの肉球は、ピンクと黒い斑点が混じっています。
この黒い斑点はお転婆って証拠ですが、誰がそんなこと決めたんでしょうね? 
『あーどうか、ここから脱出できますように』『あの灰色のひとたちが、チェリーたちの演奏を聞いて、
笑顔になって、色がつきますように・・・』なんて祈っていました。
そして、あの、クロひつじさんだって、何だか憎めないかんじだったって思っていました。
そんな時、何かがささやいているのが聞こえました。
「・・・アババ・・・・・負けないで・・・負けないで・・・」
「んっ?」
「アババミー・・・負けないで・・・負けないで・・・」
と小さい声でささやいているのが聞こえました。
チェリーは肉球をはなして、あたりを見回しました。
すると、地下室の影からあのクロスケが見えました。
「アババ、アババミー!!!」
「クロスケ!」チェリーが喜びの声をあげると、
ミョミョねぇがさっとクロスケの前に立ちはだかりました。
「何、あんた、またよくもノコノコと現れたわね!わたしたちを違う道へ誘導して、ここに連れてきて!
まだ、わたしたちになんかようなの!」
ミョミョねぇは、かみつこうをじわじわとクロスケに近づきました。
「まって、まっておねぇちゃん、クロスケは私たちの味方よ。ねークロスケ。」
チェリーはミョミョねぇの前にたって、クロスケをかばいます。
「なーに、クロスケ。『負けないで』って・・・チェリーたちは絶対負けないよ!」 
大きな影のクロスケは、ゆらゆらとゆれていました。
「クロスケは黒いけど、私たちの味方よね。」
「アババ、アババ・・・キー」クロスケがそういうと、ガチャと何かが床に落ちました。
それは地下室の鍵らしくものでした。
「それは、ここの鍵なのね!やったわクロスケ。
おねぇちゃん、早くその鍵をつかってここから出ましょう!」
とチェリーは、さっきまで怒っていたミョミョねぇに向いキーを手渡しました。

3人は、そっと鍵をあけて、扉の外に出ました。
意外にも看守のカラスがいないと思ったら、となりの部屋でぐぅすか寝ていました。 
3人とクロスケは、ゆっくりと階段を上って行きました。 
シーンと静まり返っていて、何の気配もしませんでした。 
さっきのカラスみたいにみんな寝てしまっているのかもしれません。
廊下に出ると暗かったのですが、クロスケの誘導で何とか、裏口の玄関までいくことができました。
「アババ・・・アババミー」クロスケがそういうと、裏口の玄関がすっーとあきました。 
「やった、やった!」チェリーが喜びの声をあげました。
忍び足で歩く3人とクロスケは庭に出ました。元きたところから入ってきたら、
見つかると思ったので、裏口を探しました。 
裏口の前に、黒いカラスが羽ばたいていたのみて、3人は目の前にある温室のようなところに入りました。 

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10、クロスケ、ト・モ・ダ・チ


その温室は実験室みたいなフラスコとかがいっぱいあって、
その脇でグロテスクな植物がいたるところに植っていました。
全然カラフルではなく食虫植物のような気持ちの悪いものばかりでした。
ハギスがおもわず言いました。
「なんだいここは?くさいし、みんな不格好で気味が悪いね。」
ミョミョは少しも興味がないようでした。 
ハギスは、ひょうたんみたいな植物の目の前にいったかと思うと、突然大きな声を出しました。
「オラ、オラのギターはどこだ!おとうからもらった大切なギター!
あれを持って帰らなきゃ。どうしよう!」

「そんなの今とりにかえってたら、みつかちゃうでしょ。なにいってんのよ。バッカじゃないの?」
ミョミョねぇは、ハギスにきつくいいました。
「だって、だって~あれは大切なものなんだ」とハギス。
「ワタシだって荷物の中には、大切なものばかり入ってるわよ」
そんなやりとりをしているうちに、外が騒がしくなってきました。
チェリーがふたりの口をおさえようと手を出して
「しっ、二人ともだまって、みつかちゃうじゃない!」と言いました。
『ギィーーーー』と温室のドアが空きました。 
クロいカラスが一匹はいってきました。
するとクロスケが、そのカラスにおそいかかりました。
「アババ、アババミー」
「ギャー」という声と共にそいつは逃げて行きました。
「さー、今のうちに外にでて、全速力でここを抜け出しましょう!」
とチェリーがいい、3人は温室のドアをバーンとあけて飛び出しました。
しかし、そこに待ちかまえていたのは、カラス軍団とクロ執事でした。
「ヒヒヒ、なんで逃げようとなんかするんだい?
君たちが快適にすごせる場所なんてこの屋敷にはないんだよ~」
ボスガラスが、あいずをすると木の上からカラス軍団が
その黒い羽根をはばたかせ、3人を威嚇してきます。

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