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「広告メディア化」が進み過ぎたSNSは終わる。今、ネットでの広告規制が必要な理由

★「情報」と「広告」のバランス崩壊が引き起こす、メディアのユーザー離れ

 昨今、S N S人気の推移を見てもわかるようにTwitter→Facebook→YouTube→Instagram→TikTokと、次々にS N Sメディアが生まれ、ユーザーによって“消費”されています。
 

 ここで“消費”とあえて表現したのは、一般の生活者にとって有効な時間は有限であり、メディアに費やす時間は消費だからです。そのうちの幾分かをメディアから情報を摂取することに費やし、それが単なる「浪費」になった瞬間にメディアから人は離れていくのです。
 

 では、人々が「浪費」と感じてしまうメディアとは、どのようなものなのでしょうか?

 
 多くの場合、メディアとはビジネスとして成り立っています。そのため、「情報(コンテンツ)」の流通と「広告」の流通の2つの側面があります。それゆえ、この2つの側面のバランス(さらには量と質という側面でも)はとても重要です。私の見解では、ユーザーのメディア離れは、この2つのバランスが崩れることによって引き起こされます。
 

★オールドメディアにはあった「自主規制」


この点、テレビ業界には放送連の自主規制による「CMの総量規制」があり、CM枠は1週間における放送時間の18%以下に設定されています。
 
 これは、あくまで18%以下という上限設定なので、当然放送局によってその総量は異なります。それでも、コンテンツと広告のバランスを意識した規制が設定されていると言えます。
 
 一方、S N Sを含むデジタルメディアにはその設定がなく、多くの場合、ページビューという無限なメディア在庫によって成り立っています。総量規制という考え方は存在しません(ただし、メディアによっては1ページビュー内における広告表示量はある程度設定されていると言えます)。その結果、広告があふれ、その時間の多くが広告に費やされるようになれば、人が離れていくのは必然だと言えます。インフォマーシャルやインフルエンサーなどを利用し、広告っぽいニュアンスをなるべく打ち消した広告フォーマットも増えつつありますが、ステルスっぽいイメージがネガティブに触れてしまう例も少なくありません。

★広告規制なしのネット媒体の未来は危うい

 メディアや広告主、そして広告代理店から見れば、テレビのような有限な広告在庫では、単価を上げる以外に収益を伸ばしにくいと言えます。そのため、無限にある広告在庫は、予算に応じてリーチやフリークエンシーをコントロールしながら広告接触量を増やすことができ、そのメリットは大きいでしょう。
 
 しかし、ここには規制がありません。自社他社を含めてその在庫に群がっている状況です。それを理解しておかないと、広告に溢れ、常に追従する某アフィリエイトによって、次々にメディアは焼き畑のように消費されてしまいます。
 
 そんなことを思いながら久しぶりにFacebookを開いてみたら、そこにはInstagramの閲覧データを元にしたさまざまなリターゲティング広告でスレッドが埋まっていました。


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