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広告担当者が知っておきたい「令和時代のペルソナの描き方」




■コモディティ化した市場の「ペルソナ設定」で大切なこと

 マーケティングを考える際、「ペルソナ」を考えることがあるだろう。セグメント、顧客像などと言い方はさまざまだが、つまり自分たちの顧客や新たに顧客になってほしい人を定義することである。広告のターゲットがどういう人であるか、自社や代理店などとイメージを共有するためにつくる「群像」だとも言える。

 ペルソナの設定では、まずプロファイルを決めることが多い。「40代男性。高学歴。年収は平均以上。結婚していて子持ち。お金には余裕がある」といったものだ。

 重要なのは、このプロファイルを「ニーズ」、さらには「インサイト」まで落とし込めるかどうかだ。

 モノが飽和している現代(コモディティ化した市場)では、商品のスペック、機能、そして表面的なニーズを訴えるだけでは消費者に訴求することは難しい。選択肢が多い今、消費者は“わがまま化”していて、より自分にフィットした商品を選びたいと考えている。

 それに応えるためには、「インサイト」を捉えることが大切となってくる。プロファイル、ニーズで止まってしまっては、大多数のうちの1つにすぎなくなってしまう。

■ニーズとインサイトの違い

 ニーズとは、「誰もがわかっている」顧客心理のことである。そしてインサイトとは、さらに深い部分で、「ターゲット本人ですらわかっていない」顧客心理だ。氷山で言うなら、ニーズは海面に見えている部分、インサイトは海の中に隠れている部分だと言えるだろう。

 先ほどのプロファイルの男性を例に、ビールの広告を例に挙げてみよう。この人は毎晩、家で缶ビールを2本飲むことが習慣だとする。

 この男性のニーズを考えるなら、「仕事で疲れた気持ちを切り替えたい」「一日の終わりの自分へのご褒美」などが考えられるだろう。

「でも果たして本当にそうなのか?」と表面的なニーズをさらに深掘りしていくと見えるのがインサイトだ。

 たとえばこの男性は、本当は「毎日、家でも仕事のことを考えてしまって寝つきが悪い。でも、風呂上がりにビール2缶を飲むとなんとなく早く眠れる気がしている」と考えているかもしれない。

 すると、広告クリエイティブを考える際に「お疲れ様のビール」ではなく「スパッと眠れて翌朝すっきりビール」のほうが響く可能性が出てくる。

 このように、インサイトを読み解くことで、コモディティ化した市場で消費者に素通りされない、深く刺さる広告を実現できる可能性が高まるのだ。

 なお、インサイトを考える際、さまざまな仮説が出てくるだろう。その中で優先順位を決める場合はデプスインタビューが有効だ。調査対象すら気づいていない心理なので、「こういうインサイトがあるのではないか?」と仮説を持ったうえでターゲットにインタビューするといいだろう。


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