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広告主は"絶対"に知っておきたい「テレビCM出稿」で失敗しないコツ


★テレビCMの広告売上=広告在庫×単価



 前回の記事で触れたように、テレビではCM総量の自主規制が設定されています。1週間におけるCM枠の総量は放送時間の18%以下です。このように広告在庫が有限なメディアでは、収益を右肩上がりに伸ばし続けるには限界があります。
 
 テレビショッピングなどのマーチャントによる収益源は別とすると、テレビ局側から見た広告の収益源は以下のような変数で成り立っています(海外コンテンツのアウトバウンドやD V Dセールスなども除外します)。C Mの総量規制を前提とすると、広告売上を上げるためには、「在庫を増やす」という選択肢は必然となくなり、「単価」を上げる以外に選択肢は残りません。

 では、どうすれば単価を上げる、つまり「値上げ」できるのか? このとき単純に、昨今続いている物価上昇のように値上げを訴えることは難しいでしょう。当然、「視聴率が高い」ことが必須条件になるはずです。


★放送局は、どうやって単価を上げるのか?


 ここで、昨年7月の時間帯別のCM枠のデータを見てみましょう。

(データ引用先:スイッチメディアラボ)

 時間帯別に見ると、プライムタイム帯(19~24時)に全体の21.3%の割合でC M枠が設定されています。コア視聴率が高くなるプライムタイムは価格も高めに設定できるため、スポットでの販売比率を下げ、提供レギュラー(2クールに一度設定される、番組提供を行うスポンサー枠)として販売されます。

 スポットは、バルクでの販売、つまりまとめ買いになるため、放送局としても低単価になりやすくなります。つまり、放送局としては、提供レギュラーのように半期固定で安定収益が見込める枠をいかに高く売るかが重要なK P Iとなるわけです。

★広告主は、放送局の「資源の分配先」にも目を配るべき

 一方で昨今、テレシー、ノバセルのようなスポットの少量売りなどでCM枠が買いやすくなったため、一部の広告主はそうしたフレキシブルな枠に流れている状況もあります。
 
 これが無限な在庫を抱えるデジタルメディアであれば、販路拡大のメリットは大きいでしょう。ですが、テレビにはC Mの総量規制が設定されており、在庫上限がある以上、流動性が上がったとしても限界収益は見えています。
 
 そのため、放送局としては何にフォーカスするのか、資源(予算、スタッフ、キャストなど)の分配先がとても重要になります。つまり、買い手である広告主にとっても、積極的に資源が分配されたCM枠と現状維持のCM枠とでは、当然、質的な差が生じるはずです。
 
 つまり、広告主としては、コスト重視で露出先を決定するだけではなく、放送局の資源の分配先に目を配るというのも一つの重要な要素になります。目先の価格に左右されず、放送局が力を入れている良質なコンテンツを見極めて、出稿枠を決めていくことが大切です。

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