【エッセイ】連載:Ep3 ついに到着
壁に”Welcome to Montana"(モンタナへようこそ)と書かれた大きな絵画が飾ってある。
そう、私はグレイシャーパーク国際空港にいる。
もう既に夕日が沈みかけていた。
明日国立公園に向かうので、今夜はゆっくりモーテルのベッドで休もう。
安モーテルの近くにあるガソリンスタンドで、到着記念のビールとチップス、そして煮炊きで使うアルコールストーブの燃料を購入した。
ビールを飲んだら少しは興奮が収まるかと思ったが、目はギンギンだった。
色々な気持ちが入り混じって、心の交通渋滞だ。
ワクワク、ドキドキ、ウキウキ、ハラハラ…
そんな複雑な気持ちに疲れた私だが、いつの間にか朝を迎えていた。
なんて都合の良い体だ。
タクシーで国立公園に向かう道中、既に高くそびえたつ山々が見えた。
なんて素敵なんだろう。
タクシーは国立公園エントランスの手前までしか行けない。
私はエントランスで入場するために料金を支払う必要がある。
徒歩や自転車なら$20、車なら$35だ。(この一週間パスで園内の出入りが自由にできる)
私が車に交じってエントランスの列に並んでいると、インド人らしき親子が私に声をかけてきた。
「あなたバックパッカー?私たちの車に乗っていかない?」
驚きはあったが、彼女たちの好意を受け入れ車に乗せてもらうことにした。
ラッキーなことに、私は$20を支払わずして園内へ入ることができたのだ。
この浮いた$20が後にアルコールへと変わるのは言うまでもない。
心優しきインド人の親子は、いやな顔ひとつせずに私をキャンプ場まで送ってくれた。
世の中には本当に優しい人たちがいる。
私も見習いたいものだ。
私はこの親子に感謝と別れを告げ歩き出した。
ウォークイン用のキャンプサイトはいくつかあった。
私は人が多いのと初対面が苦手なので、人里離れたキャンプサイトを選んだ。
そこにたどり着くまでに、たくさんのRV(キャンピングカー)を見かけた。
本格的なアメリカ人のキャンプを目の当たりにし感動を覚えた。
私もいつかVan life(バンライフ)かRVで生活してみたいと、妄想にふけった。
キャンプサイトに到着。
チェックインの時間は既に過ぎていた。
さあ、ここが私が一週間お世話になる寝床だ。
私は最高のポジションにテントを張った。
トイレが近いのは、私にとって利点でしかない。
こうしてアル中にとって文句のない場所をゲットできたわけだが、ここから始まる冒険は彼女の人生観を変えていくのだった。
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