見出し画像

ADHD(注意欠陥多動性障害)

おはようございます。特別支援学校で教員をしていますおさかな先生です。
日々の生活の中で僕が学んだ特別支援教育についての知識や、特別支援学校での経験を通じて感じたことなどを書いていければと思っています。

さて。
今日は「ADHD(注意欠陥多動性障害)」というテーマで、僕が本を読んで学んだことや、このテーマに関して僕が感じていることを皆様にお届けしたいと思います。

ADHDとは?

ADHD(注意欠陥多動性障害)とは、「多動」「不注意」「衝動性」を三大症状とする発達障害です。

わかりやすく言い換えると、

☑︎多動=じっとしてられない
☑︎不注意=集中力がない
☑︎衝動性=考えずに行動してしまう などになります。

このような3つの症状から具体的にはどのような行動が表れるのか?以下にまとめます。

☑︎忘れ物が多い
☑︎自分の興味があることからの切り替えが難しい
☑︎片付けや整理整頓が苦手
☑︎話を聞いていないように見える
☑︎落ち着いてじっと座っていられない
☑︎静かにするべき場所で静かにできない
☑︎順番が待てない
☑︎気にさわることがあると、乱暴になってしまう
☑︎他の人を邪魔したり、さえぎって自分がやったりするetc.

これらの行動以外には、不器用な者が多かったり、知的な能力に比べて学力の遅れが生じる者が多かったりなどが主な症状となります。

また、成長するとしばしば一緒に認められるのが情緒的なこじれで、その主なものは「反抗挑戦性障害」という診断名で呼ばれます。

要は、大人の言うことを聞かない、挑発を繰り返し周りの人間に対して故意に苛立たせる行動を繰り返すなどの「反抗的で生意気な子どもたち」のことです。

いま日本の学校には、このような行動特性をもつADHDの子どもが溢れているそうです。


ADHDの子どもの育ち

「多動」に基づくトラブル(行動障害)を繰り返してしまうADHDの子どもに対して、親や教員は叱りがちになってしまいます。

行動障害の他にも、愛着形成の遅れなどを理由とした叱責過多による自己肯定感の低下が、「大人に対する反抗」というような二次的問題につながりやすくなっています。

ADHDにおける反抗挑戦性障害の併存は7割近くになるとも言われているそうです。

ADHDの子どもへの対応のコツ


ADHDの子どもに対する効果的な治療は、「小学校低学年段階におけるハンディキャップをいかに減らすか」ということに焦点が当てられます。

その基本の一つが「薬物療法」であり、もう一つが「環境調整」になります。

「ADHDの約8割に薬物療法が有効である」ということが報告されています。

ただ薬の取り扱いには慎重に注意を払う必要があるので、医療で効果判定を厳密に行い、またできるだけ期間を限って用いることが好ましいとされています。

なので幼稚園レベルではよほど問題行動が頻発していない限りは頼らず、小学校入学後にトラブルを最小限にするという目的のもと期間限定で服用することが望ましいでしょう。

最終的には、中学校年齢になれば服用を中止するという薬物療法で、大多数の一般的なADHDにおいては効果が表れるとされています。

次に「環境調整」についてですが、「学習に際して周囲の刺激を減らし注意散漫を治める工夫を行うこと」と、「叱責をなるべく減らし情緒的な不安を軽減してあげること」がその中心となります。

注意散漫を治める工夫としては、「教員の一番近くの最前列中央に席を移動する」だけでも、学習が可能になる子どもは数多く存在します。

また、「少人数クラスに移行するだけで学習ができるようになる子どもも存在する」のです。

さらに、「睡眠不足の時には注意散漫という特性が強く表れてくるので、早寝早起きの指導は絶対不可欠」になります。

そして最も重要となる要素が、「本人のやる気や努力意欲」です。

ADHDの診断基準の症状の中に「精神的な努力を必要とする課題を避ける」という特徴が挙げられており、このことが要因となって多動性の行動の問題が招かれることが多いです。#そしてまた怒られて情緒的にこじれるという負の連鎖

このADHDの特性をよく理解し、『叱るのではなく「おだてまくる」という覚悟が必要』になります。

「努力すればそれなりに成果が挙がる(褒められる)という体験をすること」はADHDの子どもだけではなく、すべての子どもにとっても大切なことだと思います。

まとめ


ADHDの子どもの大人数のフォローアップ(追跡調査)では、成人に達したときに、おおよそ半分が生活する上でほぼ問題のない状態であり、半分が集中困難や多動の症状が残っていたり、中には抑うつなどの情緒的な問題を併発していたりします。

この分かれ道の大きな要因となるのは、まさに周囲の大人たちの「発達障害への理解」ではないかと思います。

発達障害の子どもと関わる周囲の大人が、発達障害に対する正しい知識を持ち、適切な支援をすることで、子どもたちの生きづらさは軽減されるのです。

問題行動が表れていても、「何が原因になっているのか?(きっと原因があるはず)」を分析し、様々な対応や支援を工夫して取り組んでみる。

叱ってばかりになっていないか?最低でも1日1回は褒めることができているか?

周囲の支援者も人間なのでイライラしたり、心に余裕がなくなってしまったりすることもあるでしょう。そんな時は周りで相談できる人を探して話すことが大切。話すとラクになってスッキリします。

「障害はその子が持っているものではなく、周囲の人や環境がつくりだすもの」ということを忘れずに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?