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農業において、作業の後回しがNGな理由

農業において、当たり前だけど大事なこととして実感していることを書きます。

私は、農業法人2社に勤めたのち、現在鳥取県琴浦町にて新規就農に向け、農家さんのもとで研修中です。
その経験の中で、農業でやってはいけないことというのが、共通してあるのが、タイトルにある通り、作業の後回しをすることです。これは、特に農業において顕著だと感じています。

適期作業の重要性

経験として、

作業すべきタイミング(作業適期)で作業するのに必要な労力を1とした場合、
遅れて作業をする際に必要な労力が1.2、1.5、下手すれば2となる場合が多々あります。

例えばこんな風に

あくまで例ですが、

常に適期に作業を行えば1日目から7日目を通して作業労力は1です。
しかしながら1日遅れの作業が続けば、7日目には1の労力が1.6に積み重なります。

1日目にすべき事を2日目にすれば労力は1.2になります。(1日目に0.2のやり残しとすると、2日目には0.24の負荷としてのしかかる)
その事により2日目には、2日目に本来すべき事が2日目に出来なくなります。(1-0.24=0.76)

遅れを取り戻す努力をしないと、2日目には0.24のやり残しが生じます。


3日目には、本来2日目にすべきだったことを3日目に行う事で、3日目にやるべき事が一部出来なくなります。

といったように、横着や少しの油断が、仕事の負担を増やしてしまいます。
もちろん、毎日フルパワーで仕事をするわけではないでしょうし、遅れを取り戻すことも出来るかもしれませんが、作業が後手後手になりがちな農繁期では、意識的に、やり残しなく作業することが大事になってきます。

では、なぜその日のやり残しが翌日以降更に重くなるのかを説明します。

ここでは、実体験を基にした例として次の例を紹介します。

①その日のうちに出来るけど、面倒だから明日する。
(例:機械の掃除、まだ出来る作業を途中でやめる)
②まだあとでも出来るからしない。
(例:草刈り・草取り、使った道具のメンテ・片づけ)
③そもそもキャパオーバー(管理面積に対して手が足りない)で作業が後手後手になる。

①その日のうちに出来るけど、面倒だから明日する。

トラクターの泥落とし

トラクターで耕起をすると、多くの場合、ロータリーに雑草や固まった土がこびりつきます。
それらをその都度圃場内で落としてやれば、案外簡単に落とせるものです。しかし、それを放置し、2日、3日経つと土が乾燥し、ガチガチに固まり、簡単には落とせなくなります。

作業終了後に残業せずに早く切り上げたいがため、横着して、のちのち苦労するということを何度も経験しました。

作物の管理作業を途中でやめる

当日する予定だった管理作業を途中でやめてしまうと、同じ圃場内に作業済みの区画と未実施の区画が出来てしまいます。作業のタイミングのずれは、その後の生育差として現れます。生育差が生じると、同じ圃場内でも株ごとに違う管理をしなければならなくなり、作業はより煩雑になります。
こうした差が、後々の管理や収量の減少につながります。

②まだあとでも出来るからしない。

草刈り・草取り

草刈りや草取りは、作物自体に触れる仕事ではないので、面倒に感じる場合が多々あります。しかしながら、やるべき時にやっておかないと、のちのち草が育ってからではかなり厄介な存在となります。

草が短いうちに草刈りを行えば1時間で済む所が、遅れたために、3時間かかることもザラにあります。

そして、そうなった畑に時間かけてるうちに、他の畑もそうなってしまうという悪循環が生じます。

同じ3時間を使うなら、草刈りのスパンを短くすると、手遅れになる前に3回草刈りが出来、草の影響も少なく抑えられます。

使った道具の片づけ

道具をメンテナンスして、片づけるまでが仕事のうちです。農業機械は大小問わず、使用後のメンテナンスが出来ているか出来ていないかで、次回の作業の始動も寿命も変わってきます。(特に田植え機、コンバインように、年に数回しか使わないものでは)

時間一杯作業に取り組むのも大事ですが、作業後の片づけやメンテナンスが、次回使用時の手間もコストも減らします。どうせ同じ時間を使うなら、未来の手間を減らすような時間の使い方をしたいものです。

③そもそもキャパオーバー(管理面積に対して人手が足りない)で作業が後手後手になる。

①、②の要素に対して、そもそもの人手が足りないというのが③の要素です。

本来は、適期に作業をすることを習慣とし、常にやり残しのない状態がベストですが、仕事のキャパオーバーとなると、適切な作業の循環が回せなくなります。一つ作業が遅れ、また一つ作業が遅れ、というように、作業の遅れが新たな作業の遅れを生むという悪循環を発生させます。

こうなると、圃場が荒れ、仕事の士気も下がります。

何より、単収低下による収益性低下を面積拡大でカバーするという更なる悪循環につながります。

適切な管理で、収益性を高めるためには、無理な規模拡大をするのではなく、現時点でのキャパシティの中で最大限のパフォーマンスをあげられる栽培面積での生産をしたいものです。

まとめ

ここまで、ちょっと偉そうなことを書きましたが、
同時に自分への戒めでもあります。

何より、ここで書いてある例は全て実体験です。
これらは、自分が今までやってきてしまった失敗でもあります。

これから新規就農する上で、労働力の数は仕事の忙しさと同時に増減させるのは容易ではないし、時期によっては③キャパオーバーの場面が多々現れるかと思います。それでも、その時その時、出来ることをきっちりとし続けることが大事だと思います。

のちのち面倒くさいことになるから今ちゃんとやる

究極の面倒くさがりやになりましょう。

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