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2014年5月の記事一覧
第4話 妻の話-黒人の人形
「なんだかわからないけど、最初からいやだったのよ」
妻がその人形をもらったのは、幼稚園児のころだったという。
「黒人の男の子と女の子で、見た目は可愛らしいんだけど……」
誰がくれたものか、覚えていない。
母親の知り合いだったと思うが、それ以上のことはわからない。
ただ、最初に見た瞬間、「怖い!」と感じたことだけは、鮮明に記憶している。
ビニール製で、身長は30センチくらいだったか。
チリチリ頭
第7話 妻の友人の話-呼ぶもの
妻の友人の話。
和くんは友人宅の二階から飛び降りようとしたことがある。
深夜のことだ。
独身の若者4人が集まって、馬鹿話をして、飲んで眠った。
「で、飛び降りようとしたらしいんです」
「らしい」という言い方になるのは、本人がそのあたりの状況をまったく憶えていないためだった。
酒が回って、和くんの他、2人が撃沈。
アルコールに強い1人だけが、しかたなくゲームで遊んでいたという。
フラフラ
第9話 妻の話-ついてくるもの
「今はまったく見えなくなったけど」
子どものころから妻はいわゆる「見える人」だったという。
彼女曰く、霊は普通、色がなく、声も出さない。
モノクロの影絵みたいなものらしい。
「テレビ番組に出てくるような、迫ってきたり、話しかけてくるものは、見たことないわ」
ただときどき、そのセオリーに合わないものがいる。
あるとき妻は、「ついてくる霊」に悩まされることとなった。
「いつからそれがいたの
第11話 妻の父の話-ユネスコ会館
人を呪っても、日本では罪に問われない。
深夜、誰かの名前を書いたわら人形に釘を打ったとしても、それを禁じる法律はない。
日本の法制度は、呪いや心霊現象の存在を認めていないのだ。
もちろん警察や検察もその「原則」に従って活動している。
だが現場で働いている個人は、実際にはどう考えているのだろう?
妻の父親は警察官だった。
学生のころ、妻はその父親に「ユネスコ会館だけは行くな」と言われていたそう
第12話 妻の友人の話-トビ職と僧侶
トビ職の健一さんはお寺の改修工事で、屋根から落ちたことがある。
「恥ずかしい話やから、あんまり人にはいいたないんやけど」
そう断りながらも話してくれたのは、以来、奇妙な現象に悩まされているからだ。
お経を読んでしまうのだ。
最初に読んだのは、落下事故の直後だった。
由緒あるお寺の改修現場で起きた事故ということもあり、健一さんはすぐに地元の大きな病院に運び込まれた。
当初、なかなか意識が戻